アーキテクト・エージェンシーがお送りする建築最先端マガジン

Architect's magazine

MAGAZINE TOP > > 株式会社リライトデベロップメント

多様な職能が交じり合い新たなアイデアが生まれる。変貌する社会の未来を見据え、“人が集まる場所”をデザイン

多様な職能が交じり合い新たなアイデアが生まれる。変貌する社会の未来を見据え、“人が集まる場所”をデザイン

株式会社リライトデベロップメント

2014年月、JR中央線の高架下に新しい“公共圏”が誕生。リライトデベロップメントが設計を手がけた商業施設「コミュニティステーション東小金井(以下コミステ)」である。同社のビジョンはハード・ソフトの両面から新しい公共性を社会に示すこと。この実現のため同社代表・籾山真人氏は、異なる専門性を持ったメンバーとの協働という道を選択。13年にメジロスタジオがリライトデベロップメントに合流するなど、様々な組織改編を進めてきた。今回、話を聞いたのは籾山氏と、元メジロスタジオ代表、現リライトデベロップメント取締役の古澤大輔氏。まずは二人の邂逅までを辿ろう。

マガジン創刊からスタートしたJR高架下の商業施設

結果、4人の専門家が、リライトのもとに集まり、グループの照準を「街づくり」に合わせることになった。同社が手がける案件は商業施設が7、8割を占めるが、籾山氏は商業施設を“現代的な意味でのパブリックスペース”と捉える。コミステを例に、リライトと街とのかかわり方を見ていこう。

JR東小金井駅高架下の店舗群コミステは、JR東日本の戦略子会社であるJR中央ラインモールから依頼を受け、リライトが企画立案から事業計画、設計、開業後の運営までを担っている。
声がかかったのは11年。その内容は「中央線の高架下に生まれた新たなスペースの有効活用。中央線の沿線価値向上のため地域を巻き込みたい。どんなアプローチがあり得るのか」。

このお題に対してリライトは、開業2年前から始まる3つのステップを提案。第1ステップは、エリアマガジン『ののわ』の創刊だ。沿線在住のキーマンを誌面に登場させ、地域の魅力を発信した。次に、同誌に登場したキーマンらと月1回のトークイベントを開催し、地域のアーリーアダプターたちをつなげた。ここまでは、いわばコミュニティの醸成期間。第3のステップは、コミュニティの受け皿になる具体的な場をつくること。これがすなわち、コミステである。地域コミュニティの受け皿であるからには、テナントもそれにふさわしいものでなければならない。現在は、革細工職人、ペットグッズのセレクトショップ、シルクスクリーン作家など、「地域の個人事業主」たちが軒を連ねる。籾山氏が「計画段階から口を酸っぱくしてクライアントに説明していた」のがこの点だ。

「JRの商業施設にはナショナルチェーンが入居するのが基本でした。でも、それではコミステは意味を失う。だからテナント誘致スキームも、地域の個人が前提。また、開業資金を抑えられるよう、徐々に適正価格にアップする段階家賃を設定しています」
建築の計画においても、「コストをかけず、いかに立体的な場をしつらえるか」が検討された。店舗の躯体にコンテナを活用したのもそのためだ。ファサードには鉄骨フレーム用いて、建物と遊歩道をゆるやかに仕切っている。設計を担当した古澤氏は言う。

「クライアントから予算を下げろと言われることはありますが、このプロジェクトの場合は逆(笑)。地域の個人事業主の出店リスクを抑えるために、設計、建築にかけるコストも下げなければいけないなど、私たち自身がクライアントを説得したうえで実現したローコストです。その点も新しかった」開業後は空きスペースでマルシェ(青空市)なども開催。またリライト自身もJR中央ラインモールとテナント契約し、全国各地のフリーペーパーを集めた「ヒガコプレイス」を運営中だ。そうやって彼らは現在も、コミュニティのとりまとめ役を任じている。

【次のページ】
「非作家的な作家性」。この思想を武器に新たな公共圏をつくる

ページ: 1 2 3

PROFILE

株式会社 リライトデベロップメント
設立 2008年8月(11年5月に改組)
 ※メジロスタジオ創業は2002年9月
代表者 籾山真人
所在地 東京都新宿区大京町29 作道ビル4階

人気のある記事

アーキテクツマガジンは、建築設計業界で働くみなさまの
キャリアアップをサポートするアーキテクト・エージェンシーが運営しています。

  • アーキテクトエージェンシー

ページトップへ