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建築家には多様な可能性がある。 結果責任をしっかりと持って、 自分が心から面白いと 思えることに挑戦してほしい

建築家には多様な可能性がある。 結果責任をしっかりと持って、 自分が心から面白いと 思えることに挑戦してほしい

株式会社インターオフィス/寺田尚樹

 100分の1の縮尺で住宅や街の風景を表現した「テラダモケイ」に、熱伝導率の高いアルミを使ったアイスクリーム専用スプーン「15・0%」。寺田尚樹氏の活動は〝建築〞の枠を軽やかに超え、プロダクトやインテリアにもおよぶ。2014年、そこに高級家具の輸入販売を手がける株式会社インターオフィスの〝経営者〞という肩書が加わり、16年1月には、オフィスファニチャーメーカー、イトーキとのコラボレーション・ブランド「i+(アイプラス)」を立ち上げた。活動領域は拡散する一方だが、寺田氏の考えでは、それも正しい建築家のあり方なのだ。
「建築家として教育を受けたことが全部生きている。経営もデザインも建築の延長だと思っているのです」。その真意はどこにあるのか。そして、その全領域で発揮される寺田氏の〝技〞を聞いた。

自分が心から面白いと思うことを薄めずに届けたい

売ることにしっかりと責任を負う。だがそれは〝売れるもの〞を追いかけるものづくりを意味しない。むしろ「マーケットリサーチはしない」というのが、寺田氏の明確なスタンスだ。「それをやると、薄まっちゃう。つまらないものになっちゃいますね」

いわれてみれば「テラダモケイ」も「15・0%」も、かなりニッチなプロダクトである。「15・0%」は、ほぼ完全なプレゼント需要。確かに、1本3000円もするスプーンを自分のために買う人はなかなかいない。

「あの人にプレゼントしたら喜ばれるだろうなとか、驚いてもらえるかなとか、想像できる人にご購入いただいているような気がします」

アイスクリーム専用スプーン「15.0%」。アルミの高い熱伝導効果により、カチカチに凍ったアイスクリームがすぐにすくえる仕組み。2011年度グッドデザイン賞受賞

インターオフィスの新プロジェクトとして立ち上がった「i+(アイプラス)」も、ほかのメーカーが扱わないオフィスファニチャーをラインナップ。例えばホワイトボード。インターオフィスが扱う高級オフィスファニチャーにも見合うよう、素材やディテールを徹底的に検討した。

「自分と感覚が近い人に、ちゃんと伝えたいと思っているんです。たくさんの人のニーズを綿密にリサーチして、それを平均化して具体化するハリウッド映画のようなアプローチは、それはそれでいいけれど、僕はしません。模型が大好きだ、家具が大好きだ、といった人たちに向けて思いを真摯に伝えていけば、十分ビジネスとして成り立つはずなんです」

しかし、〝経営者〞となった寺田氏にとって、こうしたクリエイターとしてのこだわりが、足かせにはなりはしないだろうか?

「わからないですね(笑)。でも、建築家、デザイナーが輸入商社の経営をして、家具ブランドを立ち上げ、そのデザイン、プロデュースもするというのは、誰もやったことがないはずです。みんな面白がってくれている気はするし、そうだったらいいなと。『誰もやってないことだね』と言われるのがクリエイターにとって一番嬉しいことじゃないですか」

最後に、若き建築関係者に向けたメッセージを語ってもらった。

「建築の勉強というのは、大きな視点で物事を考える訓練、あるいはいろんな方向から物事を考える訓練なのだと思います。それは、どんなフィールドにいったとしても役立つもの。だから僕も『経営もデザインも建築だ』と言っているし、きっと建築家が和菓子をつくったら『これは建築的な造形ですね』と評価してもらえる(笑)。まんざら冗談じゃありません。僕らが受けたそういう教育は、しっかりと血肉に染み込んでいるはず。どんな挑戦をする時も、建築から学んだことがプラスになりますよ」

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PROFILE

寺田尚樹

寺田尚樹
Naoki TERADA

1967年生まれ。89年、明治大学工学部建築学科卒業。
94年、英国建築家協会建築学校(A Aスクール)ディプロマコース修了。
2003年、テラダデザイン一級建築士事務所設立。11年、テラダモケイ設立。
14年、株式会社インターオフィス取締役。
17年、同社代表取締役社長 兼COO。
武蔵野美術大学非常勤講師。一級建築士。

株式会社インターオフィス

設立/1983年4月
代表者/代表取締役会長 原田孝行
代表取締役社長 寺田尚樹
所在地/東京都港区南青山1-2-6
ラティス青山スクエア6階

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