面白いと感じるものに時間と体力を投資する

大西氏にとって、建築という仕事の魅力は「問題のゼロ地点に立ち戻って考えられること」だ。建物一つをつくることが建築家の役割ではない。特に、公共性の高い建築物の依頼が増えている昨今、強く感じるという。

「建築をつくることをとおして街全体の可能性について考えるべきだと思います。せっかくつくるなら、最大限、街のためになるものにしたいと誰もが思うはず。だったらやるべきことをゼロまで遡って考えたいし、そこが面白いですね。そんなふうに仕事をしていると、同じように考えている人たちが自然と、たくさん集まってくる。その人たちとの仕事が、また面白いんです」

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「自分がやりたいと思っていることで、生きている」
そう話す大西氏に、若い建築家のキャリアの積み方を聞いた。

「私の場合、自分が〝面白い〞と思った人のところや場所に躊躇せず行っていました。二十代の頃はお金のことも将来のことも考えず、どんどん。若い人が投資できるものといえば時間と体力、フットワーク、有り余る熱意。それを自分が『ここだ！』と思うところに注ぎ込む。もちろん、成功したことも失敗したこともありますけど（笑）」

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