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社会福祉法人・医療法人施設の設計に注力。 情報力と企画力を武器に成長市場に挑む

社会福祉法人・医療法人施設の設計に注力。 情報力と企画力を武器に成長市場に挑む

K.設計 東京支店

社会福祉法人・医療法人施設の設計に注力。 情報力と企画力を武器に成長市場に挑む

デベロッパー機能で顧客開拓に活路

1969年に兵庫県で創業して以来、官公庁関連施設、商業複合施設、マンションなど幅広く建築設計を手がけてきた株式会社ケイ設計。

近年は社会福祉法人、医療法人関連施設に注力しており、その比重は全案件の6割ほど。2013年に東京支店を開設して以降は、関東近郊でも実績を積み重ねている。

医療福祉施設に特化する動きを指揮したのは、専務取締役の橘田睦之氏。同社創業者の典博氏は、睦之氏の父親である。
「父の時代は待っていれば施工会社やデベロッパーから依頼がありました。しかしバブルは弾け、これからは自ら動かなくては仕事がなくなる時代になっていく。その問題意識からのスタートでした。私は別の設計事務所で医療福祉施設の設計にかかわったこともあり、この分野に可能性を感じていたのです。医療施設は誰しもがお世話になるもの。また老人福祉施設も高齢化に伴っていっそう利用者が増えていくものですから」

こうして橘田氏が社会福祉法人や医療法人を相手に飛び込み営業をかけ始めたのは、約15年前のことだ。結果は「ほとんど門前払い」。この分野に実績を持たない同社が既存の設計事務所を退けるのは難しく、5年ほどは目立った成果を上げられなかったという。だが介護保険導入により社会福祉法人が一気に増加する。橘田氏も新しいアプローチに活路を求めた。
「デベロッパーと同じ方式をとることにしたのです。用地を探すところから始め、行政ともコンタクトを取りながら、そのエリアが必要とする施設を企画する。そのうえで、もう一度飛び込み営業です。すると、かつては門前払いをされた社会福祉法人や医療法人からも、『話を聞かせてほしい』という反応が返ってくるようになりました」

主な実績は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホーム、総合病院など。
「医療福祉施設特有の暗く重いイメージを避け、明るさや優しさを感じる設計を心がける」のが持ち味。小さなグループホームなどを含めると年間30物件ほどを設計しており、その数は今後も増えていく見込みだ。しかし橘田氏に気を緩める様子は見られない。
「時流を読まなければならない部分もあるのです。今後の高齢者人口を考えると施設自体の数はあと10年で頭打ちになるでしょう。我々が今手がけているような設計の仕事も減っていきます。設計と並行してサービス付き高齢者向け住宅やグループホームを自社運営するなど、次の一手を模索したい」

〝卒業生〞たちが業務パートナーに

医療福祉施設の設計にシフトして以降、同社の受注量は年々増え続けている。一方で、社員数はここ15年で1、2割しか増えておらず、「忙しくて、人手不足なのは確かです」と苦笑する橘田氏。
「パートナー企業との連携を進め、人手不足の解消を図っています。社長は『うちは養成学校』だと言っているのですが、社員たちがどんどん卒業し、独立しているのです。当然、〝卒業生〞は全員うちのやり方やノウハウを熟知している。彼らとしっかり連携することで、我々も仕事の幅を広げることができています」

無論、それと並行して社内メンバーの育成・強化も推し進める。橘田氏によれば同社の強みは「情報力と企画力」。用地をいち早く見つけ出し、エリアに潜むニーズをキャッチする情報力と、そこにふさわしい施設を設計・提案する企画力である。この強みをメンバーが揃って発揮できるようになることが、目下の課題。橘田氏含めメンバーは皆設計者だが、今のところ「情報を集め、企画して売り込みにいく」ところまで実践できるのは橘田氏1人だ。

「基本、社員にはイチからなんでもやらせたいと思っていますが、やはり、まずは設計力。設計業務を完璧に掌握しなければ、企画はできない。一つひとつ経験を積み上げてもらい、企画から納品まですべてこなせる設計者を育てていきたいですね」

PROFILE

橘田 睦之

橘田 睦之

1996年、熊本工業大学(現崇城大学)工学部建築学科卒業後、株式会社小林総合計画入社。

2000年、家業の株式会社K.設計に入社し、専務取締役就任。医療福祉企画部を立ち上げる。

13年、東京支店を開設し、支店長に就任。

株式会社K-BRAIN代表取締役。

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