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誠実かつワンストップの仕事が信条。40カ国以上での業務実績が信頼の証

誠実かつワンストップの仕事が信条。40カ国以上での業務実績が信頼の証

山下設計国際事業部

ODA案件を柱にいち早く海外へ

同社が初めて海外の案件を手がけたのは1977年。ODA(政府開発援助)によるバグダッド(イラク)の放送局建設だった。以来、インドや中国にも市場開放とほぼ同時に“進出”するなど、設計事務所の国際展開という点ではパイオニア的存在だ。津本正芳部長は「世界中どこにでも行きます。今まで会社として仕事をした国は40カ国以上、約140のプロジェクト数に上ります」と話す。

現在、同部に所属するのは16名で、大半が1級建築士などの資格を持つ技術者である。案件はODA関連が約半分で、病院や教育施設、最近は博物館の受注も多いという。大使館、大使公邸のほか、コンドミニアム、生産施設の設計、PFIアドバイザー、耐震診断、PM/CMなど設計外業務も多く手がける。「どこにでも行く」だけでもなく、「なんでもやる」ことも、同部のモットーだ。

日本の建築家が海外で仕事をする際

「日本の建築家が海外で仕事をする際、基本計画やコンセブトデザインなどの設計の前段階の部分をやって、後は現地に任せるのが多い。でもうちは、そもそもどんな建物がふさわしいのかというコンサルティングから、基本設計、実施設計、入札運営、工事監理まで、ワンストップで運営するのです。プロジェクトが始まると、調査・設計・発注段階までは複数のスタッフで、工事段階からは現地駐在が最低1名+国内担当という体制です」

特にODA案件で重要になるのが、コンサルティングだ。

「与えられた設計条件に則ってやるのではなく、“プロジェクトの目標を達成するために何をなすべきか”からクライアントと詰めていきます。その結果、施主に対して『その建物ではダメです』と言うこともあるし、建て替えではなく、使い続けるためのメンテナンスのアドバイスをしたりすることもあるのです」

日本の技術の押し付けではなく

日本の技術の押し付けではなく

海外が日本の設計者を評価し、それに期待するものを、津本氏は「単に技術を持ってくるというのではなく、納期などの約束ごとを守る、品質に責任を持つといった仕事のやり方ではないでしょうか」と話す。

そうした期待に応えるためにも、「我々が海外に出る場合は、プロジェクトごとに必ず現地の有力な設計パートナーを見つけ、彼らとしっかり協力しながら進めていく」のだという。

「日本の設計技術がどんなに優れていても、そのまま持っていくだけではうまくいかないことが実はとても多いのです。現地の仕事のやり方、法令、輸出入の手続き、メンテの仕方などを勉強しながら、我々の技術でとおす部分と現地の手法を取り入れる部分を見極め、最適な設計ができるよう心を配っています」

ところで、先ほど述べたように、海外のプロジェクトは基本的に現地に派遣される限られた担当者が建物の完成まで責任を持つことになる。

日本の建築プロジェクトでは

「日本の建築プロジェクトでは、展示設計、土木設計、ITネットワーク構築など、別途専門会社に発注できることも、海外プロジェクトでは我々の守備範囲になることも。現地でのそうした打ち合わせも、すべて一人でこなさなければなりません。図面を書くのも自分。加えて当然のことながら、相応の語学力が求められます。英語圏とは限らないので、これがまた大変」

そう語る津本氏自身は、英語、のほか中国語、スペイン語、タイ語、インドネシア語などで仕事をした経験を持つそうだ。

「今はミャンマーで5件同時にプロジェクトが進行中なので、ミャンマー語に挑んでいます。まあ、まずは現地に溶け込んで、長期滞在しながら何から何まで一人でやるというのは、正直、楽な仕事ではありません。でもほかでは得られない経験ができるのも事実。今でも初めての国に行く時にはワクワクしますね」

そんな津本氏に、“欲しい人材”について聞いてみた。

「語学などをハードルだと思わず、技術的なことも貪欲に身につけて、新たなことにチャレンジしたいという気概のある人。そういう人には、本当に働きがいのある職場だと思いますよ」

PROFILE

津本正芳

津本正芳
Tsumoto Tadayoshi

つもと・ただよし/

1991年、九州大学大学院建築学科修了後、山下設計に入社。

6年間、主に国内の設計業務に携わる。

その後は一貫して、国際事業部。

2011年、同部部長に就任。1級建築士。

タイ、インドネシア、南アフリカなどで長期滞在経験あり。

今も年間4割は海外出張をこなす。

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