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BIM活用の最大メリットは、施工現場の効率化にあり!日本型IPDの概念と仕組みを構築し、新たな境地へ挑む

BIM活用の最大メリットは、施工現場の効率化にあり!日本型IPDの概念と仕組みを構築し、新たな境地へ挑む

グローバルBIM

日本の建設業界では、設計も施工段階においても、まだ2Dの図面が幅を利かせる。そんななか、施工現場へのBIMの活用で世界トップレベルの実績を築くのが、グローバルBIM(GB社)である。例えば、施工計画を3Dで可視化する独自開発のBIMアドオンソフトウエア「smartCONPlanner」は、大手ゼネコンを含む他の建設会社でも導入が進んでいる。ただし、同社の〝BIM戦略〞は、「建物をつくり管理する」だけにとどまらない。視線の先にあるのは、社会インフラなどとのデータ連携をベースにした、スマートシティ構築への貢献だ。

「多機能なBIM」の特性を生かし、〝未来のまちづくり〞を

「BIMは3Dだからこそ、お話ししたようなウォークスルー(仮想空間)プレゼンテーションを可能にし、設備との連携、干渉チェック、構造解析との連動、概算数量算出をはじめ、80種ぐらいの項目を検討することができ、膨大な建物に関するデータを蓄積できるのです」と矢島氏は話す。
しかし、「そうしたBIMには、すでにあまり興味がありません」と真顔で続ける。

「BIMは、単に建物をつくり管理するところから、竣工後の〝オペレーションフェーズ〞でのデータ活用に、活躍の舞台を移していく」という未来に視線を向けているからに、ほかならない。

そのオペレーションフェーズでターゲットに位置付けられるのが、モノをつなぐインターネット=IoT、ロボティクス、自動運転車、スマートシティなどとの連携である。

「BIMとのデータ連携というと、みんな違和感を持ったりもするのですが、それは誤解です。車の自動運転を例にとれば、公道を走っている時には、GIS(地理情報システム)データで制御できるものの、いったん民間の敷地に入ったとたん、そのシステムはシャットダウンされてしまう。そこから先は、BIMデータの守備範囲になるわけです。国際標準IFC(注:コラム参照)ベースのデータはIoTと親和性が高く、建物内のロボットを動かす試みも、すでに実現しています」

BIMによる設計、施工は、建築工事の工期短縮やコストダウン、さらには竣工後の建物メンテナンスなどに有効なだけでなく、その数が増えれば増えるほど、社会全体に有益なビッグデータを充実させていく、というわけだ。そうしたデータ連携技術の研究開発とともに注力するのが、国際戦略の一層の強化である。現在、南米にも拠点を設けるべく、アプローチを始めている。

「そうすれば、24時間、地球のどこかでモデリングのできる体制が整います。〝グローバル〞と名乗る以上、少なくともアジアでは一番メジャーな会社を目指したい」(矢島氏)

一味違ったBIM事業を展開する同社だが、「うちはまだできたばかりで、基盤づくりの段階にあります」と中野隆社長は言う。
「キーになるのは人材。未来に貢献していくに足る人を集め、育てていくのが、私の第一の使命だと思っています」

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PROFILE

中野 隆(写真左上)

中野 隆(写真左上)

Takashi Nakano
1974年、東北大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、鹿島建設に入社。
現在、グローバルBIM代表取締役社長。

矢島和美(写真右上)

Kazumi Yajima
1984年、日本大学理工学部海洋建築工学科卒業後、鹿島建設に入社。
現在、グローバルBIM取締役副社長。鹿島建設建築管理本部本部次長、(兼務)BIM推進室長

吉田敬一郎(写真左下)

Keiichiro Yoshida
1980年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、オリエント・リース(現オリックス)に入社。
2013年、沖縄デジタルビジョン設立。
現在、グローバルBIM事業本部長。

大島 努(写真右下)

Tsutomu Oshima
1996年、群馬県立前橋工業高等学校建築科卒業後、鹿島クレスに入社。
現在、グローバルBIM営業部営業部長。

株式会社グローバル BIM

設立/2017年4月5日
代表者/代表取締役社長 中野 隆
所在地/東京都港区元赤坂1-3-9 K-Frontビル9階
https://www.global-bim.com/

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