事業継承における具体的な課題は「人」「お金」「取引先」|2代目社長の経営課題
次の社長が、事業を再起動する。
後継経営者は問題をどう解決したか!?を徹底考察!!
経営環境が急速に変化する建設・設計業界において、「社長交代」はしばしば危機の象徴として語られる。業績悪化、後継者不在、組織疲労ー。そうした課題の末にトップが交代するケースは少なくない。
社長が変わるだけで、会社は本当に変わるのか。本特集で取り上げた4つの事例は、その問いに明確な答えを示している。経営者が変わること自体に意味があるのではない。経営の構造に踏み込んだかどうかが、再生を分けていた。
再生を果たした企業に共通していたのは、まず「見えなかったものを見える化した」点である。原価、業務プロセス、現場情報、そして設計や建築の価値。属人的に運用されてきた暗黙知を、数字や言葉に変換することで、経営と現場が同じ地平で議論できるようになった。これは単なるDXではなく、意思決定構造そのものの再設計だ。次に特徴的だったのは、自社の強みを再定義していることである。価格競争に巻き込まれていた企業は、設計力や建築スキルを軸に価値を再構築し、「なぜ自分たちが選ばれるのか」を明確にした。特に設計・建築領域では、デザイン性や性能といった曖昧だった価値を、収益性や成果として数値化し、市場に提示した点が大きい。
解決策【1】A社(建設会社)
新社長就任で原価管理を刷新し資金繰りを安定化
先代社長急病で二代目へ交代したA社は、公共工事依存と原価管理の不備で利益が不安定化。新社長は工事台帳による案件別原価管理、現場会議の定例化、下請け営業強化などを導入し、利益の可視化と安定受注を実現した。資金繰りと収益管理が改善し、健全な財務基盤を取り戻した。
問題 原価管理不備で利益見えず経営悪化
解決 原価管理の徹底と営業構造の見直し
【事業を成長させた要因】収益管理の可視化
工事ごとの原価を“見える化”する台帳管理を導入し、案件別利益率をリアルタイムで把握可能にした。現場監督会議を定例化し、予実差異を即時把握。加えて下請け工事の比率を高める営業戦略へ転換し、受注の安定化と利益管理強化を両立した。
解決策【2】B社(工務店)
社長交代でリノベ事業を軸に黒字化
B社は町の工務店として業績低迷が続いたが、3代目社長が設計施工とリノベーション事業を成長軸に据えた。異業種出身の人材も採用し、顧客ニーズを取り込みながら提案力と業務効率化を進め、結果的に黒字転換を達成。社員との対話や経理の見える化も再建を後押しした。
問題 従来工務店モデルで受注低迷
解決 リノベ事業を成長軸に転換
【事業を成長させた要因】設計施工の融合
新経営陣は住宅・店舗のリノベーションを事業の柱と位置づけ、従来の工務店モデルから顧客価値を高める設計施工モデルへシフト。社内の経理データを整理し可視化することで収益構造を明確化し、業務フローを効率化した。
また、すべての事例に共通するのが、精神論だけに依存していないことだ。気合や根性は確かに必要だったが、それを成果に変換するための仕組みが用意されていた。現場主導の改善︑情報共有の徹底、意思決定の高速化。トップが変わったことで、こうした改革が初めて実行に移された。
解決策【3】C社(建設会社)
若手継承社長が現場主導で経営体質を進化
C社は二代目社長就任後、従業員の大量退職という危機を起点に社内の仕組みを刷新。社長自身が現場と向き合い、デジタルツールを導入し現場情報の共有を徹底。社員の声を反映した業務改善が社内に浸透し、信頼と生産性が高まった。これがV字回復の原動力となった。
問題 社員大量離職で事業継続が危機
解決 現場主導の業務可視化と改善
【事業を成長させた要因】現場主導改善
就任した社長は、現場の声を起点に経営改革を推進。属人的な業務を見える化するためデジタルツールを導入し、案件情報共有や進捗管理を改善。社員に権限を委譲し、仕組みとしての改善サイクルを回すことで、社内の信頼関係と生産性が向上した。
解決策【4】D社(建築・不動産会社)
24歳で負債継承、設計力で会社を再生
入社1カ月の若手が24歳で社長に就任。現預金は数十万円、負債は数千万円という極限状態からの事業承継だった。新社長は設計事務所で培った建築・設計スキルを武器に、不動産事業の付加価値を再定義。設計力を軸に他社との差別化を図り、短期間で負債を完済した。
問題 創業者急逝と多額の負債
解決 デザインや設備を数値化し、家賃・利回りで収益性を可視化
【事業を成長させた要因】価値の数値化
新社長は、不動産を「立地だけで評価する市場構造」に疑問を持ち、設計・建築スキルを用いた価値転換に踏み切った。オートロックや設備性能などの付加価値を定量指標で示すことで、オーナーにとって判断しやすい不動産モデルを構築した。
今回の4事例は、建設・設計業界においても「経営は変えられる」ことを、極めて現実的な方法で証明している。再生の鍵は、誰が社長になるかではない。何を変える覚悟を持ち、どこまで踏み込めるかにある。
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