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産官学をブリッジし、構造問題の“解”を導く――。各人が広い視野を持ち、新領域に切り込み続ける

産官学をブリッジし、構造問題の“解”を導く――。各人が広い視野を持ち、新領域に切り込み続ける

株式会社 構造計画研究所

独自の〝技〞で建築業界をリードする会社、組織を紹介する本企画の1回目にご登場願うのは、構造設計分野で我が国トップクラスの実績と55年の歴史を誇る構造計画研究所である。構造設計部の責任者である川端淳氏、他社が二の足を踏むユニークな建造物も手がける関根渉氏、そして営業部門のリーダー中村仁氏に、〝仕事の極意〞を語ってもらった。

「我々だからこそ」の技術、知見で社会に貢献を

常に〝新しいこと〞にかかわってきた関根氏が現在進行形で取り組んでいるのは、風力発電設備の支持物。ここ2年ほどで160基の設計に携わってきた。同社にはマイクロウェーブの鉄塔で培った鉄塔設計に関するノウハウは蓄積されていたものの、風力発電施設となると、また次元の異なる難しさがあるのだという。
「この分野の第一人者である大学教授にお話を聞きにいったら、『風力発電をやるには覚悟がいる』とおっしゃっていました。実は僕も同じ感想を抱いていました。効率的な発電を実現し安全性を確保するためには、タワーの構造設計が完璧にできるのは当然として、風のことをよく知る必要があります。加えて風車の機械制御、建造の過程はどうか、地盤は大丈夫か……とにかくそういった一つひとつのファクターについて、一定以上の知識を持たないと仕事になりません。風力発電施設は将来的には洋上になると思いますから、そうなると地震だとか地上の環境とは違う、海の外乱要因も加わってくるわけです。いろんな意味で、やりがいがありますよ(笑)」

風力発電が「エネルギー危機」に対する一つの処方箋ならば、折しも東日本大震災の直前、11年2月に完成した共同住宅「知粋館」(コラム参照)は、地震大国ニッポンへの新たなる提案だ。
中村氏に説明してもらおう。
「通常の免震は水平方向の横揺れだけを軽減するのですが、この建物には上下方向の揺れにも対応する『3次元免震装置』が導入されました。一般に、地震の縦揺れをどうにかできないかという認識は昔からあったのですが、建物全体を空気ばねで浮かせてしまうという発想には、なかなかたどり着けませんでした。この装置は世界で初めてのシステムです」

この「知粋館」は、同社の社宅として使用。自前の建物だけに〝見学自由〞で、海外からも視察に訪れているという。
「もともとは原子力発電所の安全性確保のために研究されたのですが、それを一般建物で実用化までもってきてしまうのが、当社ならでは。これも社風のなせる業ですね」と中村氏は笑う。

ところで、今は構造設計部部長を務める川端氏は「入社4、5年目、大阪支社時代に手がけた、公共のスポーツ複合施設の設計が忘れられない仕事です」と言う。
「温水プールあり、体育館あり、地下にアイススケート場ありという結構シビアな建築物だったのですが、その時初めて、構造のあらかたの方向性を決める基本設計から具体的な実施設計、現場監理まで、一気通貫で任されたのです。あの時の苦労と達成感が、今も私の仕事のベースになっています」

そんな川端氏は「当社はやる気さえあれば、どんどん新たなことにチャレンジできる会社です。そういう気概を持った人に、ぜひ仲間になってほしいですね」と話す。

取材の最後に各人の目標を聞いた。
川端氏は「世の中には、例えば『3次元免震装置』のように、我々だからこそかたちにできるというものが、まだまだあるはず。実績におごることなく、今後もそうした技術を生み出し、広げていける構造設計部でありたいですね」と話す。

関根氏は「次々に新しい技術領域にかかわるなかで、構造設計そのものを極められないのではないかという焦りを覚えたことも、正直ありました。でも風力発電などに取り組むと、今までいろんなことに首を突っ込んだ経験が生きていることを実感します。そういう自分の強みも生かして、これからもお客さまの要求に応える仕事がしたい」と決意を語る。

中村氏は「営業は、特に全社的な広い視野に立ったアプローチが大事だと思っています。構造設計をベースに置きつつ、その枠を超えたところでも仕事がつくれるよう、自らの任務を果たしていくつもりです」と話してくれた。

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PROFILE

川端 淳

1996年、大阪工業大学工学部建築学科卒業後、株式会社構造計画研究所に入社。

構造設計部に配属され、その後も一貫して同部の業務に従事する。

大阪と九州の事業部部長を経て、2012年、同部部長に就任。

構造設計一級建築士。

関根 渉

1991年、日本大学理工学部建築学科卒業後、株式会社構造計画研究所に入社。

構造解析ソフト販売、既存建物診断、地盤解析、新築構造・免震構造設計など、

入社以来、幅広い領域の業務に従事し、構造設計部へ。
構造設計一級建築士。

中村 仁

2000年、名古屋大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、株式会社構造計画研究所に入社。

構造設計部に配属され、7年間同部の業務に従事。

その後、事業企画部、新領域営業部を経て、2011年、建築構造営業部部長に就任。

株式会社構造計画研究所

設立/1959年5月
代表者/服部正太
資本金/10億1000万円
所在地/東京都中野区本町
4-38-13 日本ホルスタイン会館内

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