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リノベ業界から、 住宅の新スタンダード を切り開く。

リノベ業界から、 住宅の新スタンダード を切り開く。

株式会社インテリックス空間設計

近年注目を集めているリノベーション業界で、草創期から30年にわたって業界をリードしてきた株式会社インテリックス。その内装事業を牽引するインテリックス空間設計の二人に、リノベーション事業の"面白さ"と"これから"について訊く。

建築マーケットが新築から中古へ移行する時代で見据えるインテリックスの戦略

インテリックス空間設計渋谷店のスタッフの皆様。若手社員が多くの物件を担当できる環境が整い、充実した教育体制のもとで成長を続けている。

─まずはインテリックスが「中古マンション再生販売事業」を始められた経緯についてお聞かせください。

滝川:インテリックスは1995年に設立されました。当時はまだ「リノベーション」という言葉すらなかった頃だったのですが、すでに都内には中古マンションが溢れていました。しかし、「マンションといえば新築」が当たり前の時代、中古マンションの多くは誰も欲しがらないような状態だったんです。そこで創業者が「これをきれいにしたら売れるのではないか」と考えたのがリノベーションの始まりです。─まさに、何もないところから市場を創り上げてきたのですね。

滝川:他社が襖を張り替える程度の表面的な内装で済ませていた時代に、私たちは配管まで含めて全てを刷新するようなリノベーションを始めました。当時の常識で言えばありえないことをしていたのですが、実際には売れ行きもよくて、多くの需要があることがわかったんです。2001年からは、これも当時の中古市場では異例の「アフターサービス保証」を打ち出しました。最初は「中古なのに保証なんてできるのか」と言われましたが、我々は保証できる品質で作っているんだという自信がありましたから。

─新築の設計とは異なり、リノベーションには特有の難しさがあるかと思います。石井上下階隣に居住者がいる中古マンションの場合、新築では考えられない、音・時間・スペースなど、様々な制限がありますね。インテリックスは、築年数も広さも間取りも全部違う物件を、年間1000件以上リノベーションしているのですが、設計も施工も一つ一つのノウハウをマニュアル化し、どのような現場でもしっかりと高いクオリティを保てるようにしています。

滝川:一件一件条件が違うからこそ、一つ一つの部材や工法を突き詰めて、誰がやっても高い品質を保てる「スタンダード」を確立する。それが我々の設計の根幹であり、新築設計にはない醍醐味だと思います。私はアトリエ事務所の出身で「唯一無二」のものも作りましたが、リノベーション業界の「スタンダード」づくりが大好きなんです。「日本の住宅のスタンダードを作っていく」ことが本当に面白いと感じますね。

─今も、新しいスタンダードを作るための取り組みは続いているのですか?

滝川:もちろんです。新築では義務化された省エネ適合基準ですが、中古住宅は努力義務です。中古住宅の新たなスタンダードとして「省エネリノベーション」に力を入れています。具体的には、古いマンションは断熱性能が低いことが多いのですが、既存の壁を壊さずに上から断熱ボードを貼る新しい工法を開発し、コストと工期を大幅に削減することに成功しました。さらに、熱交換型の換気システムや、花粉を99%カットする空気清浄機を自社で開発し、これからの時代に求められる「空気の質」も高めていきたいと考えています。

─挑戦はまだまだ続いていくのですね。では最後に、今後の意気込みを聞かせてください。

石井:インテリックス空間設計は、当初はインテリックスが取り扱う物件の内装を100%受注する会社だったのですが、今は外部の法人事業や内装、それから個人の方からの依頼も受けていて、それぞれ事業として成長し続けています。首都圏ではもう新築の販売戸数よりも、中古の販売戸数が上回っていて、これからも中古市場が伸びていくことは間違いありません。そうやってマーケットが新築から中古に移行していくなかで、リノベーション業界全体をもり立てていくことも、パイオニアとしての使命だと感じています。

滝川:この業界に参入する企業様も増えていますが、我々は常に新しい商品とスタンダードを開発して、優位性を作っていきます。また、業界全体で言うと人手不足も大きな課題になっています。これを解決するために、社員や関係企業も含めた待遇改善に取り組んでいます。そういった取り組みを通じて、インテリックスの発展、そして業界の発展を牽引していきます。

■インテリックス空間設計が手がけるリノベーション事例。

❶港区の築42年RC造。買取再販事業の「リノヴェックスマンション」。最長20年のアフターサービス保証がついている。

 

❷個人向けのショールーム「青山リノベーションスタジオ」。素材や適性サイズを体感することができる。

 

❸目黒区築19年のメゾネット2LDK・109㎡の個人邸リノベーション事例。
PROFILE


 

滝川智庸 /Tomoya Takigawa

株式会社インテリックス空間設計 代表取締役社長
株式会社インテリックス 取締役
株式会社リコシス 取締役

横浜国立大学工学部建築学科を卒業。株式会社新居千秋都市建築設計に入社し、集合住宅や公共施設などの設計・監理を担当。1998年、株式会社インテリックス空間設計に入社。中古マンションのリノベーションの黎明期に数多くの現場を手掛け、設計・施工マニュアルを構築。2023年株式会社リコシスの取締役に就任し、省エネリノベーションの技術開発を推進。一級建築士。

 

石井菜津子/Natsuko Ishii

株式会社インテリックス空間設計 執行役員
株式会社インテリックス 設計部長

家具メーカー、インテリアデザイン事務所を経て、2005年に株式会社インテリックス空間設計に入社。中古マンションのリノベーション設計・監理を担当し、現場に精通した設計を志し、監督や職方との対話を通じて、マンションリノベーションに関する知見を深める。その後、個人邸や同業他社の法人のリノベーション案件に携わり、
現在は設計・施工の責任者を務める。一級建築士。

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