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園の教育・保育方針をしっかりと受け止め、期待を超える建築をワンストップで提供する、「園舎設計」のプロフェッショナル集団

園の教育・保育方針をしっかりと受け止め、期待を超える建築をワンストップで提供する、「園舎設計」のプロフェッショナル集団

時設計

高いデザイン性、保育環境づくりを含めた提案力が同社の強み。知識、ノウハウの共有も活発だ

時設計は、保育園・幼稚園・認定こども園などの園舎設計を専門とするプロフェッショナル集団だ。1984年の創業時は商業ビル、公共建築などを幅広く手がけていたが、ある幼稚園の視聴覚室増築に携わったことから園舎設計の依頼が次々に舞い込んだ。折しも、待機児童の解消が課題になり、政府が「エンゼルプラン」などの施策を展開し、都市部では保育園が次々につくられた。世の中のニーズを背景に同社は経験と知見を積み重ね、550以上の園舎づくりに携わってきた。

東京本社、東北、関西、九州、沖縄、全国5カ所の営業拠点にスタッフは60名強。設計士・建築設備士を中心に、コンサルティング部門も行政書士など充実した陣容を揃える。これは、行政との事前協議、補助金の申請、社会福祉法人の設立認可まで手厚くカバーするためだ。建物の設計にとどまらず、施設づくりをワンストップで支えられるのが強みになっている。空間とともに、そこで過ごす子どもたちの「時間」を設計していきたい。代表・菊地宏行氏が社名にこめた想いを語る。
「どの園にもそれぞれの保育理念、教育理念、そして想いがあります。時設計の仕事は、保育に真摯に向き合う先生方の想いをヒアリングし、具現化していくことです。年間50件以上の園舎を手がける中で、土間や縁側のようなコミュニケーション空間をつくったり、園舎内外を縦横無尽に走り回れるような回遊性を持たせたり、私たちも様々な引き出しをストックし、子どもたちがのびのび育まれる空間づくりを目指してきました」

都市部のミニマムな園舎から、近年のトレンドである木造平屋建て園舎、さらには広大な自然を生かした郊外型、遊び心たっぷりのアスレチック遊具を取り入れた園庭、水辺の環境に触れ合えるビオトープまで、園の理念、想いを反映した時設計の作品は見ているだけでも楽しい。バラエティ豊かな空間づくりは、子ども、親、先生に寄り添ったアウトプットができるスタッフあってこそだ。
「平面ではなく立体のイメージでプレゼンできるよう、パース図専任のイラストレーター、絵本のようなタッチのデザイナーがいます。流麗なコンピューターグラフィックスよりも、やわらかい手描きタッチのほうが園の先生方も仕上がりを想像しやすいでしょう」

社内

常時100件以上のプロジェクトが走っており、社内にも活気が満ちる

 

保育の現場に寄り添った設計、デザインを支える社員の半数は女性。タイや京都在住のスタッフもいる。菊地代表が主導し、家庭の都合で東京本社を離れても在宅スタッフとして働けたり、地方拠点を立ち上げて営業活動ができたりする体制を整えてきた。出産・育児をしながらキャリアを積める仕組みは低い離職率として結実している。
「ベビーカーを考慮したエントランス、雨の日の送り迎えを前提にしたつくりなど、現役ママ・パパの視点は設計にもフィードバックされています。当社で活躍しているのは、商業施設の設計を経験するなど、動線を踏まえて考えられる人が多いですね。大切なのはユーザーファーストの視点です」

都市部では保育施設が次々に建てられているが、人口減少が進む地方では幼稚園の定員割れが問題に。認定こども園として再スタートを模索する動きもある。子どもたちの人数の変化を見据えて教室の広さ、数をフレキシブルにできる設計も視野に入れる時代だ。
園舎のあり方があらためて問われる中、時設計は「Let kids be kids!(子どもが子どもらしく)」を信条に、実直な園舎づくりを続けていく。
「竣工した園舎で子どもたちがのびのびと遊び、先生たちが生き生きと保育に励む――そんな光景を目の当たりにすると達成感、やりがいを感じます。竣工式では園児から手づくりの感謝状をいただき、思わず涙ぐむことも。ハコとしての建物ではなく、子どもたち、先生方、保護者の方が笑顔になれる空間、地域を含めた子育て環境をつくっていくことが私たちの使命なのです」

PROFILE

株式会社時設計 代表取締役 菊地宏行

株式会社時設計 代表取締役 菊地宏行
きくち・ひろゆき

1973年、現代建築研究所入所。
11年間の勤務後、84年に独立し、時設計を設立。
2005年の沖縄営業所開設を皮切りに、九州、関西、東北へと拠点を展開。
今後は北海道、アジア進出も視野に。
一級建築士。

株式会社時設計

1984年創業。幼稚園・保育園・認定こども園など550件以上の園舎の設計に携わってきた。
補助金申請などの事務処理や近隣対策に至るまで、幼稚園、保育施設の業務に必要なノウハウを提供している。

所在地/東京都中央区東日本橋3-12-11
アヅマビル
TEL/03-3661-3673
https://tokisekkei.co.jp/

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