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デザインは社会問題解決のための技術。<br />常にオンリーワンの仕事を追求し続ける

デザインは社会問題解決のための技術。
常にオンリーワンの仕事を追求し続ける

シマダアセットパートナーズ株式会社 建築事業部

デザインと機能で都市のスキマを改善

総合不動産会社シマダグループの一員として不動産デベロッパー事業を担うシマダアセットパートナーズ。主となるのは投資用アパートの企画・設計・監理であり、総売上の7割を占める。併せて、グループ各社が手がける介護事業、ホテル事業、飲食事業にかかわる施設の企画・設計も行っている。

「ハウスメーカーや組織設計事務所では多分野にかかわるチャンスがなかなかないもの。ですがデベロッパーである当社の建築事業部は常にそのチャンスに恵まれ、企画段階から携われます。建築設計を志す人間にはとても幸せな環境だと思います」と部長の杉林友彦氏は自負する。

シマダグループは創業以来55年にわたり、企業理念の「オンリーワン(他社にない魅力的な価値を提供し続ける)」を追求してきた。その理念は事業モデルに表れている。シマダアセットパートナーズが手がける投資用アパート「グランエッグス」シリーズは、独自の建築計画モデル「スキマ+(スキマプラス)」を採用。不成形地や活用しにくい土地などの「都市のスキマ」に、デザイン性と機能性をプラスした住宅を建築することで不動産価値の向上を目指している。この事業スキームそのものが評価され、2014年にグッドデザイン賞を受賞した。

スキマ2

スキマプラス (不整形地の不動産価値向上事業)
東京都心で取り残された不整形地や有効活用しづらい 土地を「スキマ」と位置づけ、長屋という手法を用いて企 画・建築。不動産価値の向上と都市の活性化を狙った 事業モデルが「スキマプラス」として2014年度のグッド デザイン賞を受賞

「狭い土地に住宅を建てるのは技術的に難しいのですが、私たちはデザインの力によって住みやすく、また収益力を高めやすい住宅を実現しています」

また15年にも「1ROOM+(ワンルームプラス)」がグッドデザイン賞を受賞。増加し続ける空室問題に焦点を当て、空室のワンルーム住戸に、ベッドや畳スペース、テーブルなどを備えた家具ユニットを挿入することで、2人住まいやSOHOへ改変し、入居率の向上を狙う取デザインと機能で都市のスキマを改善り組みである。工事も不要で、単純安価な空室対策システムだ。

「私たちはデザインを社会問題を解決する手段と捉えています。アートが自分のためのものであるなら、デザインは人のため。こうした取り組みを積み重ねることでオンリーワンの商品ができるのではないかと」

海外視察を行いつつデザインを蓄積する

建築事業部のメンバーは現在12名。アトリエ系事務所出身者とハウスメーカー出身者に二分されるが、共通点は「自分の幅を広めるため」多分野にかかわる機会を求めて転職してきたこと。投資用アパートは全員が担当するが、グループ各社が運営するホテル事業などは「やりたい人が手を上げ」担当を決める。アパートだけ、ホテルだけという制限は一切ない。「やりたい人に任せたほうがいい建物ができます。だから、メンバーがやりたい仕事を提供することも、我々マネジメント職の役割だと思っています」と杉林氏。

彼らはまた、他社にはないオンリーワンの付加価値をつくるというミッションに共鳴しているメンバーでもある。

「リスペクト、チームワーク、メインステージという言葉も我々の基本姿勢を表現しています。顧客、社員、取引先への敬意や気遣いがあればチームワークは向上、気持ちよく仕事ができるはず。グループ会社をまたいだ部活動も盛んです。スキューバにマラソン、フットサルと、部署間の壁や仕事とプライベートの壁を越えたチームワークが醸成されています。こうして楽しく仕事をしていれば、日々の張り合いが生まれ、会社が人生のメインステージになる。これらがベースになりオンリーワンの価値が生まれてくるのです」

今後の目標は、デザイン面のさらなる強化だ。

「80点のデザインを数多くつくれる人と60点しかとれず時間もかかる人の違いはデザインを見ている〝量〞の違いによります。圧倒的な量の蓄積こそがスピードとクオリティの源。ですから国内外のホテルやレストラン、美術館などトップのデザインを部内で共有したい。建築事業部では毎年、イギリスやフランス、スペイン、メキシコと海外を視察して回っています。こうした機会を提供し続けられる組織でありたいですね」

PROFILE

杉林友彦

杉林友彦

すぎばやし・ともひこ/
1994年、工学院大学工学部建築学科卒業。
アトリエ系設計事務所に携わった後、99年、シマダハウス株式会社に入社。
2010年、シマダアセットパートナーズ株式会社 建築事業部 部長に就任。

シマダアセットパートナーズ株式会社

所在地/東京都渋谷区代々木3-22-7
新宿文化クイントビル14階
TEL/03-6275-1177
http://shimada-sap.co.jp/
2007年11月、シマダハウス株式会社を事業単位で分社化し、シマダアセットパートナーズ株式会社として不動産デベロッパー事業を設立。投資用アパートの企画・設計・監理のほか、戸建て事業、不動産再生事業などを行う。14年、15年とグッドデザイン賞を受賞。

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