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建築家は僕のカウンターパートナー。摩擦からしかいいものは生まれない

建築家は僕のカウンターパートナー。摩擦からしかいいものは生まれない

星野リゾート 代表 星野佳路

自信のない部分を補ってくれる存在

リゾート、旅館の運営分野に特化する同社は、それぞれ異なったコンセプトを持つ3つのブランドを展開している。
「お客さまを〝圧倒的非日常感〞に包まれた、上質な滞在空間にお連れするのが『星のや』ブランドのホテルです。また温泉旅館『界』では、単に日本のよさを打ち出すだけではなく、例えば日光なら日光、阿蘇なら阿蘇の〝らしさ〞を反映した施設、空間づくりにこだわっています。日本にあまたある温泉がみな同じつくりでは、あえて旅をしてそこに出かける目的がなくなってしまう。一方、西洋型リゾートホテルの再生からスタートした『リゾナーレ』は、カップルや家族連れがターゲットですから、スタイリッシュで、子供にとっても楽しく、安全な場の提供を目指しています」と星野佳路代表は説明する。

そうした同社が求める世界を演出するためには、「それぞれのブランドの中身を理解し、かたちにしてくれる設計者の存在が不可欠」になる。
「僕自身は、集客、コストコントロール、効率的な運営に関しては自信があります。でもデザインについて聞かれてもよくわからないし、設計もできません。だからその道のプロにお願いして、ブランドを体現する空間の創造といった、僕の中にないハード面のクリエイションを担当してもらっているわけです」

〝イエスマン〞では不安だ

ただし、「『星野リゾートに雇われた設計士、建築家』になってしまうと、いいものはできない」というのが、星野氏の基本スタンスである。
「僕は、効率性、利便性などに関する注文をバンバン出します。でも、それをすべて素直に『わかりました』と受け入れてしまう設計者だと、デザイナーとしての創造性がどんどん犠牲になってるんじゃないか、と逆に不安になるんですよ。例えば、『掃除がしにくいからデザインを変えてほしい』と言った時に、『だったら清掃の回数を増やせばいいじゃないですか』と返してくるくらいの人間に、僕は信頼を覚えますね」

いきおい、丁々発止のやり取りを厭わない設計士に、仕事を任せることになる。「ミーティングでは、〝あうんの呼吸〞というのは存在しません。特に『星のや軽井沢』以来、お付き合いいただいている東利恵さん(東 環境・建築研究所)とは、怒鳴り合いに近くなることもしばしば(笑)。ただ、そうやってお互いを主張し合うことが、『デザインを変えないで効率化を図れないか』『材質を別のものにすればコストダウンになるはずだ』などのイノベーションにつながり、それがまた次の案件に生かせるノウハウとして蓄積されていく。自分にない部分を任せる、というのは、結局そういうことではないか、と僕は感じています」

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PROFILE

星野佳路

星野佳路

1960年、長野県生まれ。
1983年、慶應義塾大学経済学部卒業。
1986年、米国コーネル大学ホテル経営大学院にて経営学修士号を取得。
1991年、星野温泉(現星野リゾート)社長に就任。
1995年、星野リゾートに社名変更と同時に「軽井沢ホテルブレストンコート」(リニューアル)を開業。
以降、数々のホテル・旅館の運営、再生事業に携わっている。

星野リゾート

代表者/代表 星野佳路
本社所在地/長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2148
設立/1904年(創業)
資本金/1億円
従業員数/1850名(グループ合計・2014年4月現在)
事業内容/リゾートホテル事業、フード事業、
ブライダル事業、エコツーリズム、
別荘管理事業、地ビールの製造・販売など

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