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“つながるBIM”への進化を後押し。 建設業界にかかわるすべての人を より豊かな人生に導くため、 早期のオープン化に尽力する

“つながるBIM”への進化を後押し。 建設業界にかかわるすべての人を より豊かな人生に導くため、 早期のオープン化に尽力する

新菱冷熱工業 SHINRYO CORPORATION

 空調設備をはじめとする設備工事の大手・新菱冷熱工業は、昨年10月、技術統括本部に「BIM推進室」を新設した。「単に便利なツールの導入を図ろうというのではなく、〝つながるBIM〞を実現するというのが、我々の役どころです」と語る谷内秀敬副室長に、その意味するところを聞いた。

実証を通じて発注者にメリットを伝えたい

とはいえ、BIMのオープン化の到達点はまだ満足するにはほど遠く、課題も多い。谷内氏は、北京で現地の建設関係者から聞いた、こんな話を披露してくれた。

「08年の北京オリンピックの時のメインスタジアムが、〝鳥の巣型〞の構造物に覆われていたのを覚えている人は、多いと思います。世界中から注目されたのですが、中国の建設業界では、先進的な挑戦だったがゆえに、課題が見つけられた、と評価されています。BIMを使ったからこそのデザインながら、実際の工程はスムーズとは言えず、メンテナンス面でも問題を残してしまった、と。だから今度の冬季五輪の建物は、8年前の教訓をフィードバックして完璧なものをつくっているんだ、と相手が胸を張って語っていたのが印象的でした」

そこで採用されていたのが、ほかならぬ〝オープンなBIM〞だった。中国でそれがたやすいのは、号令一下、国ぐるみで一丸となる仕組みがあるからにほかならない。日本で実現させるためには、〝使う意義〞〝必要性〞の理解を大きく広めることが不可欠だ。そのためには、しっかりした〝エビデンス〞も必要になるだろう。

その意味も込めて、同社は、自社が建設する中央研究所を〝実証〞の場に選んだ。20年に国土交通省が公募したBIMのモデル事業に名乗りを上げ、実際の効果と課題の検証をスタートさせたのである。

このプロジェクトの目的は、「発注者のBIM活用のメリットを明らかにすることと、先ほど述べた施工技術コンサルティングを実際に行って検証し、業務として確立することにある」と谷内氏は説明する。

注目すべきは、施工者のみならず発注者の立場からも、BIMの検証を実施することだ。

「BIMは単なる道具にとどまらず、社会の価値を高める仕組み」。
その理念を実現するために発足したBIM推進室には、オペレーティングスタッフなどを含め80名ほどが在籍する


「研究所ですから、オーナーには、そこでどんな研究を行い、将来どう発展させていきたいのか、というナレッジがあります。それをBIMに計画立案として乗せると、正確なイニシャルコストやランニングコストなどの未来予想が描けるわけです。その〝よさ〞を自ら体験して、世の中のオーナーさんにアピールしていく。建設業は受注産業ですから、お金を出す発注者さんが『ぜひBIMでつくってくれ』ということになれば、状況は大きく変わるでしょう。この取り組みを通じて、そういう流れをつくり出したいというのが、我々の願いです」

すでに、基本設計において建築コスト算出工数が約26%削減されることを確認するなど、着実に成果が上がっているようだ。最後に、谷内氏にあらためて今後の目標について聞いてみた。

「ちょっと概念的な言い方になってしまうかもしれませんが、BIMのCDEも活用しながら、働く仲間が豊かな時間を送れる環境を整備したいですね。ここで働けて本当によかった、と言われるよう、微力ながら貢献できたらと思っています」

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PROFILE

谷内秀敬

谷内秀敬
Hidetaka Yachi

1989年、工学院大学建築学部建築学科卒業後、新菱冷熱工業株式会社入社。
生産施設、研究施設、教育施設、電算センターなどの現場業務に従事。
2014年より、本格的にBIM実施計画書立案、BIM運用支援の業務に携わる。
20年1月より現職。
buildingSMART JAPAN設備環境小委員会リーダー。
全国建設研修センターBIM講師。
設備設計一級建築士。

新菱冷熱工業株式会社

新菱冷熱工業株式会社
設立/1956年2月23日
代表者/代表取締役社長 加賀美 猛
本社所在地/東京都新宿区四谷1-6-1
https://www.shinryo.com/

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