アーキテクト・エージェンシーがお送りする建築最先端マガジン

Architect's magazine

MAGAZINE TOP > 事務所探訪 > UG都市建築

全員が一丸となり、多様なアイデアを駆使し、都市に建築に、ソフトからハードまで、常にあたらしい風をふきこんでいく――

全員が一丸となり、多様なアイデアを駆使し、都市に建築に、ソフトからハードまで、常にあたらしい風をふきこんでいく――

UG都市建築

UG都市建築は、日本で初めての本格的な都市計画をコンサルタントとしてスタートした。設立当初は主に行政側のシンクタンクとして機能していたが、次第に民間企業とのブリッジ役を担うようになった。「この背景がUGならではのプレゼンスになっている」と代表の山下昌彦氏は語る。

「日本のマンハッタンをイメージした大川端リバーシティ21プロジェクトでは民間と東京都、中央区をつなぎ、日本で初めての超高層住宅地を実現しました。行政側の制度やインセンティブを熟知し、民間側のマインドも知っています。両者の思惑をすり合わせ、Win -Winに持っていけるソリューションが私たちの強みです」

都市設計部・開発推進部・建築設計部という主要3セクションに50名強のスタッフを揃える。都市設計部が付加価値を乗せたまちづくりを考え、開発推進部は地権者のコンセンサスメイキングを担当。建物は建築設計部が手がける。都市計画から建築設計までワンストップ。ゆえに行政やクライアントとの意識共有、プロジェクト遂行にも齟齬が生じない。

「新しいまちをつくり、新しい建物を次々に建てていけばいいという時代ではありません。再開発、既存のまち・建物をリノベーションして新たなストーリーを紡ぐなど選択肢も多様です。クライアントや地権者の意向を聞き取り、意見をまとめるコンセンサスメイキング、それを具現化する設計が求められています。今の時代に沿ったソリューションを提供するためには、計画・推進・設計が三位一体となった組織構造が最適なのです」

ハイブリッドな持ち味を存分に発揮するUG都市建築だが、決して順風満帆だったわけではない。都市設計部は創立当初の「UG都市設計」がバックボーン。一方、建築設計部は山下氏が立ち上げた「GL建築設計」が母体だ。両社は1998年に合併して現在に至るが、当初は給与体系や職制も異なった。セクショナリズムの弊害があり、部門同士の連携はなかなかスムーズには行われなかった。

「景気のいい時代は各部門が競り合って業績を伸ばしていける。しかし、景気が悪くなるとそれでは上手くいきません。窮地では組織が重要です。リーマンショックで業界が打撃を受けた時に組織を改めて見直し、知恵も知見も結集し、有機的に生かそうと決意。給与体系や職制も一本化。この10年間は壁を壊し、部門間のコラボレーションに注力してきました」

このコラボはスタッフ一人一人のレベルアップにおいてもメリットをもたらしている。都市設計・建築設計のスタッフは、基本的にはそれぞれのフィールドでキャリアを積むが、協働プロジェクトが活発なため、さらに幅広い知見をストックできるようになった。

体制は「オールフラット」を標榜。部長・副部長・主幹という並びは、ことプロジェクトにおいては意味を持たない。副部長の業務を部長がアシストすれば、主幹がリーダーになって上司を束ねることも。上司でも自らのポジションに固執することなく、いちプレーヤーとして前線に駆け上がるのだ。

女性社員が4割を占める中、ワークスタイルも多彩。育児のために時短勤務を活用したり、整ったリモートワーク環境でテレワークを活用したり。定年後に嘱託、顧問としてポテンシャルを発揮するOBも多い。

「社員全員が自立した建築家、都市計画家であれ。そして、一人一人が経営者の目線で俯瞰して会社を見る視線を持て。それが『オールフラット』体制の目指すところです。人生100年時代といわれる中、40代の下に70代の社員が入って仕事をするという局面もあるでしょう。高齢者になるとプロジェクトリーダーは厳しくとも、人脈、経験を生かし営業などで力を発揮するはず。私自身、高齢者になっても一兵卒として前線で働いていきたいと考えています」

時代に即した業務、組織、ワークスタイルを模索し続ける――設立から半世紀を経たが、UG建築設計は今なお活発な運動体として進み続けている。

PROFILE

株式会社UG都市建築 代表取締役社長
山下昌彦(やました・まさひこ)

1976年、東京大学大学院修士課程修了。

株式会社松田平田(途中、ハンブルク大学博士課程在籍)、

ゲルカン・マルク事務所を経て独立。
89年、GL建築設計設立、98年、合併によりUG都市建築となって以降現職。

主な作品は幕張ベイタウンシリーズパティオス2番街ほか、

みなとみらい線新高島駅、テラス渋谷美竹、山梨県防災新館、甲府駅南口修景計画など。

株式会社UG都市建築

所在地/東京都新宿区四谷3-12 フロンティア四谷
TEL/03-5369-3120
https://www.ugtk.co.jp/
1969年、我が国初の本格的都市計画コンサルタントとしてスタート。その後、業務拡大し、現在は都市再生、建築設計などにも従事。都市から建築まで幅広いスケールを取り扱い、完成度の高いデザインを実現する。

人気のある記事

アーキテクツマガジンは、建築設計業界で働くみなさまの
キャリアアップをサポートするアーキテクト・エージェンシーが運営しています。

  • アーキテクトエージェンシー

ページトップへ