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戸建、集合住宅、街並みのデザイン――。<br />加えて人材育成にも注力する戦略的チーム

戸建、集合住宅、街並みのデザイン――。
加えて人材育成にも注力する戦略的チーム

積水ハウス株式会社 設計部 東京設計室

会社全体の設計力向上を担う

5万戸近くの年間供給戸数を誇る大手ハウスメーカー、積水ハウス。その東京設計室に所属するのは41名のメンバーだ。同社の主事業である戸建、集合住宅、街づくり、それぞれの設計を担うチームに分かれる。全国に点在する事業所が担当する物件とは別に、超高額物件や特殊性の高い物件を扱うのが彼らの役割だ。「例えば、幼稚園の設計、東北の復興住宅の設計などです」と室長の藤田弘樹氏。

加えて、東京設計室は、各事業所で活躍している設計スタッフの人材育成にも注力している。

「設計部最大の使命は、良質な物件を設計、供給することです。しかし、設計室の41人がいくら頑張ってもすべての物件にかかわることはできません。各事業所の設計スタッフの〝力〞を向上させることも我々の大切な役割なのです」

人材育成は、同社独自の認定資格「チーフアーキテクト(CA)」を育てる研修プログラムを通じて行われている。CAとは、同社が誇るトップクリエイターたちのこと。

「かつて積水ハウスはいわゆるプレハブメーカーとして、パッケージされた商品を中心に販売していました。しかし、そうした〝既製服〞の考え方では、多様化が進むお客さまのニーズを十分に捉えきれなくなっているのです」

目指すのはCAのブランド化

今求められているのは、〝オンリーワンの家づくり〞を可能とする設計者だ。それだけにCAに期待される技術レベルはとても高い。認定試験にエントリーできるのは一級建築士のみ。また、エントリーに至るまでの育成プログラムも長期にわたるため、「資格認定までに早くても7年はかかる」という。

プログラムは初級、中級、上級の3段階に分かれており、上級までステップアップしたところで資格認定の審査を行う。この段階でCA候補者は戸建事業と集合住宅事業、どのCAを目指すかを選択する。

CAになるためには当然、質の高い設計能力が求められるのだが、それだけでは足りない。お客さまや仕事仲間からの評価も重要なポイントとなる。いい家をお客さまに届けるためには、打ち合わせから引き渡しまでの間に多くのプロセスを踏まなければならないからだ。

「設計担当は、実に多くの人たちとかかわりを持ちます。お客さまのみならず、支店の営業担当や施工業者さんとも対話し、しっかりと信頼関係を築いていく能力が要求されるのです」

2008年に制度をスタートして以来、CAに認定された設計者は224名( 16年4月1日現在)。毎年、数十名若手がチャレンジするなど、CAを目指す意識は全社に浸透していっているようだ。

CA資格保有者に対しても育成プログラムは続いていく。1年に一度、CAが手がけた実物件を発表する機会があり、選抜された優秀作品を冊子にまとめている。CAたちにとってはここで表彰されることが大きな栄誉であり、強いモチベーションとなっている。

「優秀作の設計手法や設計プロセスを、社内で共有する意図もあります。これからCAを目指す若い設計者たちに、会社が目指しているトップレベルの仕事を知ってもらいたい」

将来的には、CAの〝ブランド化〞という新たなミッションも控えている。同社のWebサイト内に、CAの作品をまとめてPRする特設ページを設けているのもそんな狙いからだ。

「積水ハウスの看板だけではなく、設計者個人の看板でも勝負できる――そんな〝建築家〞がたくさん揃う会社というイメージになれば」と藤田氏。

「そのためにも、まずはCAの数を増やすことが肝心です。設計室としては、設計者に早くからCAを目指すビジョンを持ってもらうこと、それに見合った研修プログラムを用意することが大切。CAが手がけた良質な物件が増えていけば、〝CAブランド〞も、引いては積水ハウスとしてのブランドも高まっていくと思うのです」

PROFILE

設計部 東京設計室
室長
藤田弘樹

ふじた・ひろき/1986年、武蔵工業大学(現東京都市大学)

建築学科卒業後、積水ハウス株式会社東京設計部に入社。

30年間、展示場設計、高額戸建設計、街並み設計などに携わる。

一級建築士。一級建築施工管理技士。インテリアコーディネーター。

積水ハウス株式会社

所在地/大阪市北区大淀中1-1-88梅田スカイビル タワーイースト
TEL/06-6440-3111
http://www.sekisuihouse.co.jp/
1960年創業。鉄とアルミとプラスチックによる「プレハブ住宅」の販売からスタート。現在は戸建住宅、集合住宅、都市再開発など幅広く事業を展開。環境への取り組みでも業界をリード、業界初のエコ・ファースト企業として環境大臣より認定を受けている。

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