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教える側も教える術を身につける必要がある。

教える側も教える術を身につける必要がある。

加和太建設

静岡県三島市を拠点に、「世界が注目する元気なまちをつくる」を理念とする加和太建設。建設事業を軸に、不動産、施設運営、テック事業に至るまで多角的に事業を展開する。創業75年の老舗でありながら、若手主体の組織と独自の戦略で成長を続ける同社の「強さの秘密」と「人材育成のリアル」に迫る。

平面図一枚からでも、設計者と伴走する、若手中心組織ならではの「育てる文化」を。

──まずは加和太建設の事業全体についてお聞かせください。

岩川:基本となるのは土木と建築で、そこに付随して不動産の仲介をしたり、最近ではまちづくりとして、三島で起業したい人を支援する取り組みも行っています。また、「道の駅伊豆ゲートウェイ函南」や「桃沢野外活動センター」の運営受託など、建設の枠を超えた事業も手掛けています。

──その中で、お二人が所属する建築部はどのような特徴があるのでしょうか。

三須:特定の用途に特化するのではなく「何でもやる」というスタンスを持っていて、静岡県東部エリアを中心に、デザイン性の高い小規模・中規模の建物を数多く手掛けています。

──具体的に、どのような戦略でデザイン系の設計のプロジェクト推進しているのですか?

三須:一言で言えば「設計事務所の方にとことん寄り添う」ことです。昨今の建築業界では、「他とは違うユニークな建物を作りたい」という需要が増えています。しかし、デザイン性の高い建築は施工難易度が高く、コスト調整も非常に難しいという難点もありますよね。設計者の方が理想の図面を描いても、いざ見積もりを取ると予算が合わなかったり、施工を受けてくれるゼネコンが見つからなかったりすることが多々あります。

 設計段階からプロジェクトに協力をさせていただくこともあります。そして「この素材をこちらに変えれば品質を保ったままコストを下げられますよ」といったVE(バリュー・エンジニアリング)提案や積算を行い、設計者の方と一緒にプロジェクトを組み立てていくのです。

──施工段階だけでなく、企画・設計のパートナーとして伴走するわけですね。

三須:非常に珍しいケースでは、平面図一枚の状態から相談を受け始めたことも過去にはありました。設計者の方はデザインのプロですが、コスト管理や施工の納まりについては我々施工会社の方が詳しいという自負があるので、設計者の悩みに寄り添い、その実現をサポートすることを心がけています。

──続いて、組織づくりについてもお聞かせください。加和太建設は若い年齢層の社員が多いそうですね。

岩川:そうなんです。管理職は30代、40代が中心で、あとは20代の若手が大多数を占めています。なので、「怖いベテラン所長がいて、上が絶対」という雰囲気はなく、風通しは非常に良いと思います。

──社員の育成にはどのように向き合っているのですか?

三須:一つは、まず「教える側も、“教える”ということについては素人である」という前提に立ち、中堅以上の社員も「教える術を身につける必要がある」と考えています。

 また、「若手が若手を教える文化」を作っていくことも重要です。具体的には、若手だけの会議、中堅だけの会議といったレイヤー別の場を設け、それぞれの視点で議論や勉強会を行っています。また、分からないことがあれば社内のチャットですぐに聞ける環境を作り、中堅層がサポートに回るなど、組織全体で知識の底上げを図っているところです。

──業界全体を巻き込んだコミュニティ活動もされていると伺いました。

岩川:はい。2022年7月に加和太建設が主導して、「ON︲SITE X」という建設会社のコミュニティを立ち上げました。静岡県内の3社から始まり、現在では全国規模へと成長しています。最大の特長は、地方建設業の枠を超えて各社の優良事例を共有するだけでなく、失敗事例や事業上の課題・問題点まで含め、すべてをオープンに共有している点です。月1回、モデル企業の取り組みや注目スタートアップの最新動向を共有するオンラインイベントを開催しており、半年に1度の技術者交流会や、現場見学会も定期的に実施しています。資材高騰や人材育成など業界共通の課題は、一社だけでは解決できない時代ですよね。だからこそ、会社の枠を超えてノウハウを共有し、共に成長していく場が必要だと考えています。

──では最後に、建築部や会社としての今後の目標をお聞かせください。

岩川:設計者の方々は、新しいデザインや面白い建築を追求されています。しかし、今の時代の複雑な要求に応えるためには、設計者の力だけでは限界があるのも事実です。だからこそ、我々施工者が知識と技術でそこを補完すれば、一緒に良いものを作っていくことができるのだと思います。「加和太建設となら、理想の建築が実現できる」。そう思っていただける存在であり続けるために、若手の育成と組織の強化にこれからも注力していきたいですね。

水の家(プール)。静岡・伊豆高原に2025年7月オープンしたプール(25m・水深8m)やサウナ・温泉を備え、泳ぎ~ダイビング練習まで楽しめるアクティビティ施設。

認定こども園しらゆり幼稚園新築工事。静岡県三島市にある幼保連携型認定こども園。設計は、株式会社時設計が担当。高低差を活かした多彩な遊び場や明るい保育室を配置し、旧園舎の壁画再現や色彩豊かなデザインで学びと遊びが融合する園舎を実現。

加和太建設本社。2022年9月着工。自社施工にて建設を進め、設計者はプロポーザルで西沢立衛建築設計事務所が担当した。

千駄木の住宅地に佇む小さなシェアオフィスの新築プロジェクト。大正時代のレトロなディテールを現代に再解釈し、外観・内装ともに時代の趣を感じるデザインで空間を構成。

長泉町パークゴルフ場クラブハウス新築工事。長泉町桃沢の自然で、生涯スポーツと交流を促す健康増進パークゴルフ場。
PROFILE


 

岩川桂 /Kei Iwakwa

建築部 工事課 課長

東京や静岡の建設会社で経験を積み、10年前に加和太建設に入社。前職ではRC造を中心に管理業務を担当。現職ではS造の建物を多く手がけ、時折RC造にも携わっている。現在は管理職の立場にあるが、プレイヤーとして現場管理にも引き続き取り組んでいる。

 

 

三須大地/Daichi Misu

建築部 工事課 係長

大学の建築学科を卒業後2014年に入社。5年目で初所長を経験しS造中心に施工。著名建築家案件も複数担当。現在は現場管理と係長として、若手育成と組織改善に取り組み、社内の意識改革を進めている。

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