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アリーナから、街づくりへ。

アリーナから、街づくりへ。

DeNA

神奈川県の川崎駅すぐそばに建設予定となっている新アリーナを中心にした、「街づくり」に挑むDeNAの中寺康太郎氏。アリーナを“箱”から“街のシンボル”へと変える、壮大な構想に迫る。

建築の〝常識〟を知らないからこそ、できること。川崎のシンボルとなる、世界一のアリーナをつくる。

─DeNAといえば、横浜スタジアムでの球団・球場一体経営による成功が記憶に新しいですが、現在新たに取り組んでいる「川崎新!アリーナシティ・プロジェクト」がどのようなものなのか教えて下さい。

中寺康太郎氏(以下、中寺):DeNAが運営する『川崎ブレイブサンダース』というプロバスケットボールクラブの拠点でもある川崎に、最大1万5千人規模収容のアリーナと、複合施設を建設するプロジェクトです。京急川崎駅から徒歩数分という立地で、2030年の開業を目指しています。

─DeNAといえばさまざまな分野の事業を手掛けていますが、真正面から「建築」の領域に踏み込んでいるというのは意外でした。中寺さんはどのような経緯で参画したのですか?

中寺:私は元々、鉄道会社でデベロッパーとして働いていたのですが、その頃から海外のスタジアムアリーナに関心があり、研究をしていました。その中で強く感じたのが、「スポーツ施設の周りにはもっと豊かな感情体験が生まれる余地がある」ということです。そんな私の想いと、DeNAが掲げるスポーツ事業の拡張性が合致し、2019年に転職を行いました。

複合施設イメージ。多摩川側にメインアリーナ、京急川崎駅側に商業棟が配置される計画。

─今回のアリーナ計画ですが、やはり川崎ブレイブサンダースのホームゲームが行われる年間30〜40日の熱狂を、いかに最大化するかという点がプロジェクトの核になるのでしょうか?

中寺:このプロジェクトが目指すものはそれだけではないんです。通常、アリーナというのは試合やライブがある「ハレの日」が主役で、その日のためにすべてが設計されていますよね。しかし我々が目指すのは、バスケの試合がない残りの300日以上も人々で賑わう場所を作ることです。非日常的な施設でありながら、街の人々が日常的に訪れ、憩い、楽しめる場所を創出するのが目標です。そのために施設内にはアリーナ以外の用途も検討していますし、アリーナの屋上を解放して「ルーフトップパーク(屋上広場)」を作る計画もしています。

─アリーナの屋上を日常的に開放するというのは、管理面や施工面でも大きな挑戦ですね。

中寺:当初はゼネコンの方々からも「本当にやるんですか?」と驚かれました(笑)。実は私のようなデベロッパー出身者や建設のプロほど、建築の構造上の難しさやコストへの影響がまず頭に浮かぶため、「それは無理だ」と諦めてしまうんです。しかし、DeNAという会社の強みは、良い意味で建築の〝常識〟を知らないメンバーたちが「街にとって絶対にあったほうがいい」と純粋に判断できる点にあります。専門家だけで議論すると、どうしてもリスク面にフォーカスが当たってしまい、「できない理由」から入ってしまいますが、あるべき姿から「やれる方法」を模索するというのが、我々の強みでもありますね。

─立地は京急川崎駅のすぐ隣ですが、既成市街地ならではの難しさもあったのではないでしょうか。

中寺:限られた敷地のため、敷地の外に目を向けて街全体の「サーキュレーション(人の流れ)」の設計が鍵になると考えました。なので、駅からアリーナへ、そしてアリーナを抜けて多摩川に至るといった人の流れを作ろうと考えて取り組んでいます。そのために、アリーナ予定地に隣接する多摩川河川敷の整備なども、川崎市に相談させていただいています。

建設予定地は京急川崎駅に隣接し、東京都心や羽田空港からの高いアクセス性を有する。イベント時のみならず日常的にも人が集う都市的な結節点として、アリーナと周辺環境が一体的に構想されている。

─建築デザインの面では、海外の設計事務所を起用するなど、非常に意欲的な座組みとなっていますね。

中寺:はい。目指すのは「世界一のアリーナ」であり、川崎の新たなシンボルです。そのために、一年中「座席の角度」や「観客の熱狂」のことだけを考えているようなアリーナ設計の専門家たちを取り入れてきました。日本では他に類をみないほどの臨場感と熱狂が溢れるアリーナになると、自信を持っています。

─中寺さんが目指す「世界一」とはどのような意味なのですか?

中寺:ユニークさ、そしてカルチャーです。川崎という街は、大都市である東京と横浜に挟まれた絶妙な場所ですよね。若年層の人口も伸びていてこれからの伸び代が感じられる勢いのある街です。まだ何者でもない若者や、これから何かを成し遂げようとする人々が集まる場所にもなっていて、それを応援する街のカルチャーもあります。

 だからこそ、目指すのは「チャレンジャーを応援する街」の象徴です。1万人の観客を集めるトップアーティストだけでなく、例えばそこを目指す未来の才能がパフォーマンスできる場所があるような、誰もが挑戦できる場所。そんな「カルチャーにおける世界一」のアリーナシティを、この川崎に実現させるので、ぜひ期待してください。

今もなお人口増加が続き、全国21の大都市の中で「最も市民の平均年齢が低い」川崎市に、新たに365日の賑わいが創出される。

スポーツを始めとした様々興行が開催できるアリーナを中心に、宿泊・飲食・公園機能などを備えた複合エンターテインメント施設。
PROFILE


 

中寺 康太郎/Kentaro Nakadera

スポーツ・スマートシティ事業本部 川崎拠点開発室 副室長

東京大学大学院 都市工学研究科修了。東急株式会社に入社後、渋谷を中心とした東急線沿線の不動産開発企画やPPP/PFI手法を活用した公民連携まちづくり事業担当を経て、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。横浜・川崎を中心にスポーツエンターテイメントコンテンツを活用したまちづくりプロジェクトに従事し、現在は川崎拠点開発室の副室長として川崎アリーナシティプロジェクトの推進を担当。

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