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建築と広告の仕事は、思考的に近しい。この業際に面白みがある

建築と広告の仕事は、思考的に近しい。この業際に面白みがある

株式会社電通

建築業界の外から建築の魅力を伝える

東工大大学院の建築学専攻を修了し、広告会社・電通に就職。建築学生にとっては少なくともメジャーとはいえない進路だろう。「指導教授には『そんなところにやるために教えたんじゃない』と叱られました」と宮口真氏は苦笑する。

もともと絵が好きで数学も好きだった宮口氏。「なかなかくっつかない2つが唯一くっつくもの」と期待し、選んだ建築の道だった。だが大学在学中、ある映像を観た。愛知万博の建物内をCGで表現した、いわゆるウォークスルー映像である。そしてそれは、ほかならない電通が製作したものだった。

「世の中にはこんなふうに建築の面白さを広めている仕事があるんだと感動したわけです。また、書店にいけば、建築と広告の書棚が意外と近いことも知った。建築学生の多くの進路は、『ゼネコンや組織設計事務所に就職する』か『建築家を目指しアトリエ事務所で修業する』かの二手に分かれると思います。自分は建築家になれるほどの実力はないから前者かなと考えていたんです。でも急に広告やデザインの仕事が魅力的に見えてきて――。ワクワクしました」

電通入社は1998年

電通入社は1998年。以来17年、イベント、スペース、プロモーション系の仕事に従事してきた。展示会場や企業文化施設のプランニングが一例だ。「コンセプトワードはこんな感じにして、こんなお客さまに来てほしいといった細部をつくり込んいくのが僕らの役割で、それらを実際のスペースに落とし込むのは、ディスプレイ会社さん。なので、僕が実際の図面を引くわけではありませんが、建築の知識があれば、先方のデザイナーとも意思の疎通をとりやすい。建築の共通言語で話ができますから」

「基本的に匿名性が高い仕事」なのだと宮口氏は言う。個人よりも会社や部署の実績とされる案件が多く、また一定期間を過ぎると撤収され、後には残らないものも多い。

「そのあたりが建築業界と広告業界の違うところ。作品としてお見せできるものが少ないんです。自分が図面を引いた建物が出来上がっていくのを見ることを喜びとする人には、少し物足りない仕事なのかもしれません」とは宮口氏の実感。

「でも逆に、建築業界ではできないこともあります。まさかこんなものが、という仕事が実はたくさんあって、面白いですよ。多くは企業や組織・団体のプロモーションの一環ですから、クライアントとの付き合いが年単位になることもしばしば。空間づくりから派生する奥深い仕事が、世の中にはこんなにもたくさんあるんだということを、この仕事に就いて改めて知ることができました」

建築と広告の仕事は同じ要件を満たす

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PROFILE

イベント&スペースデザイン局 シティ•ブランディング部長 チーフ•プロデューサー
一級建築士
宮口 真

Shin Miyaguchi

1998年、東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻修了後、株式会社電通に入社。
入社以来、所属部署・局の名称・規模は変わるが、一貫してイベント、スペース、プロモーション系の業務に携わる
2007年に一級建築士資格取得。14年より、シティ・ブランディング部長。

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