こんにちは、BIMnobaです!

クリーク・アンド・リバー社 BIMディビジョンは、BIMに特化した人材派遣を中心にBIMモデルの請負事業や導入コンサル、研修を行っています!そんな中で、BIMに携わる人々の人生や転職、お仕事についての想いなどをインタビュー形式で掲載しております。

今回のインタビューを受けてくださったのは、、、

この萩野さん、本当にユニークなご経歴の持ち主で、現在は長野県にお住まいです。
それでは早速、インタビュー!!

建築の知識や経験よりモノを言ったもの

――建築に興味を持ったきっかけは?

20代の半ば頃は、一般事務のアルバイトや派遣社員をしていました。どうせやるならデザイン系の会社の事務のほうが面白いだろうなと思って、そのなかでもインテリアや、家を建てるのは楽しそうだなと考えていたので、そのあたりに絞って求人誌を見ていたら、たまたまアトリエ系の設計事務所で一般事務と経理を募集していて、「デザイン好きな方」とあったので、楽しそうと思って入ったのが最初です。

――業界に入るのに職種は問わずに。アトリエ系事務所の後は?

そこには2002年に入って、2008年頃まで働きました。その後、以前から自分で飲食店をやりたいと思っていたので、2010年に東京日本橋で飲食店を始めました。お店は2014年までやりましたが、経営不振で閉めて、また建築の業界に戻ろうと。年齢的に、何か1つスキルを身につけなければと思って、パースを描けるようになれればと漠然と思っていたら、早くからBIMを採り入れている会社に縁があって勤めることになりました。今の仕事をどっぷり始めたのは、そこからです。

――その後はずっと一貫して建築業界で?

基本的にはそうですね。私は「昭和を伝える・残す」ことをライフワークにしていて、日本橋の飲食店も昭和をコンセプトにしたお店でした。お店を辞めた今、ライフワークのために生活費を稼がなければいけなくて、そのためのBIMでしたが思いのほかハマってしまって、今はそればっかり(笑)。

――最初はBIMも建築のこともわからず、どうやって身につけていったんですか?

アトリエ系事務所にいた頃、図面の手伝いは多少していました。小さい事務所だから、打ち合わせを傍らで聞いていたり、みんなが何をしているかわかるので、全体の流れは何となく見えていました。あとは経理担当として工事の見積もりチェックをしていたので、普通の人よりは多少知っていたくらい。

――そこからってすごいですよね。キャリアアップに繋がった転機はありますか?

やはりアトリエ系事務所で、規模が小さいからこそ、グラフィックデザインでも何でもやらせてもらえて、いろいろ触れられたことですね。あとは仕事をするなかで、例えば設計士から説明されたこととかを、いろいろ吸収しようとしたこと。いろんな転職をしていたからこそ、その場所に合わせる適応力があるというか。建築の知識や経験より、相手が何を求めているかを汲む、仕事ぶりを評価していただいているのかな? 頼まれたことだけでなく、「これをやるなら、こっちも知っておきたい」みたいな。

――その意識が、先に進める方とそうでない方の違いですね。派遣会社として見極められるといいですが、難しい。それだと、建築でもRevitでも何でも前向きに吸収していけますね。

でも大手になればなるほど、分業制だったり担当者から部分的な説明しかないこともありますが、仕方がないところもあると思います。私はそれまでの経験から、仕事はもうひと回り拡げることができるとわかっていますが、振る側ももうちょっと伝えてくれればプラスアルファの作業ができるのに、と思うこともあります。

こちらは萩野さんが夏に撮影したお写真。「車をちょっと走らせればこんな癒しの景色に出会えます。休日は温泉めぐりを楽しんでいます。」(萩野さん)

“Revitの脳みそ”にようやくなれた

――BIMもたまたまの出合いですよね。最初はRevitで、その前まではAutoCAD?

いえ、Vectorworksです。3DはVectorworksで練習をしていました。

――なるほど。Revitに出合った時の感触は?

最初に3Dの建物の断面を切って見せてくれて、すごいと思いました。Revitは面白いけど今までのソフトと全然感触が違って、IllustratorでもVectorworksでもExcelでもPowerPointでも、なんとなく使い方は想像できますが、RevitはRevit独自の考え方がないとできないので、最初は本当に困りました(苦笑)。

――それでVectorworksに戻る人も多いですが、一歩踏み込もうとしたのは?

たまたま、そういう環境の仕事先が続いたということですかね。2社目でRevitでがっつり建物をやりましたが、1人でやらなきゃいけなくて、しかもRevitに詳しい人がいなくて誰にも聞くことができませんでした。でも「わからなかったらこれを見て」というサンプルモデルがあったので、困った時はひたすらそれを見ていました。そのやり方が私の性格に合っていたみたい。

――自分で考えながら、探しながらやった。

当時は実施設計の一部をやりました。仕上げや建具、平面図など、主要なところはやったので、結構自信がついて、そこでRevitの脳みそにようやくなれたかな?

――その段階でそこまでやるのは、責任が重くないですか?

重いですね(苦笑)。しかもプランや図面の変更が多くて。更にRevitはやってもやってもきりがない(苦笑)。なので、締め切りに対して逆算して「この締め切りなのでここまでしかやらない」と自分でスケジュールを決めてやっていました。もちろん、図面としては完成させて。

――すごい!

Revitは「完全に仕上げない」ことができると気づいて、スケジュール通りに上げていました。逆にいうと、締め切りまでに終わるように操作できるソフトかも。

――それができる人はなかなかいないですよ。建築とはまた別のスケジュール力というか。

それはやはり今までの経験ですかね。20代の前半に芸能事務所でマネージャーをしていた時も、自分で舞台を借りて、スケジュールと予算を組んで、マネジメントを全部していたから。

――繋がっていますね。通常のオペレーションで上がってくるのをコントロールするなんて、できないですよ。

始めた年が遅かったのも良かったかもしれません。20代だったら、とてもできない(笑)。

担当者が自分の仕事をわかってくれている安心感

――今までBIMの仕事をしていて、一番困ったことは?

始めたばかりの頃は、やはり使い方がわからない時に聞ける人がいないことですね。

――納期の責任を負いつつ、聞けない(苦笑)。

当時はインターネットで調べても何も情報がなかったので、自分でRevitの操作方法のブログを始めて、使い方をメモがわりに発信していました。こんな些細なことがわからなくてつまずくなんて馬鹿みたい、ということが山ほどあったので、そういう人が1人でもいなくなってくれればと。いまだにそういう人がいると思います。

――建築業界という部分で困ったことは?

いっぱいあります、言葉がわからないとか。「ハト小屋」は、本当にハトがいると思っていたし(笑)。でも、建築用語はネットなどで調べればある程度は出てくるので、常識的なことは調べて、担当者でなければわからないことなどは、聞ける時は担当者に聞きます。

――クリーク・アンド・リバー社との出合いは?

当時は派遣で働くつもりはありませんでした。自由な働き方ができると思っていて、「プロフェッショナル」と書いてあるから、敷居が高いと思っていました。

――そうでもなかったですよね(苦笑)。

いやいや、実際プロフェッショナルな皆さんがいらっしゃいます。

――最初は請負契約で何かできないかという話でしたよね。派遣以外の働き方もあるので組み合わせて…という点を評価してくださった。実際もう長く働いていただいていますが、弊社の強みはどう感じますか?

担当の方が一緒に打ち合わせに顔を出してくれたり、いろいろ知ってくれていることですね。ちゃんとBIMを理解してくれているのがよくわかります。

――今は、派遣と請負の両軸でお願いしています。「自由な働き方」という点では、派遣を続けたままま開業できたのはよかったのかな。仕事で行き詰った時やスキルアップのためにすることなどはありますか?

コロナ前で東京にいた時は、BIM関連の催し物があると行くようにしていました。今はわりとそれがオンライン化したので、できる限り毎日30分、仕事が終わった後、何かしらの動画を見ようかなと思ってはいます。

――萩野さんくらいになると、知っていることばかりでは?

いやいや、Revitのことはある程度わかるかもしれませんが、実際の設計のことや施工も、周りのソフトのこともわからないんです。

――そうか、建築のことも深めていかなければいけないから。そのあたりは、動画やメルマガを見て?

そうですね。最近はずっと2022年のAutodesk Universityと、応用技術が開催しているセミナーの配信が11月末までだったので、見るようにしていました。

秋は秋でまた違った表情を見せてくれる長野。「在宅勤務でのオンオフの切り替えは重要。早朝や就業後は近所をお散歩。夕暮れ時が美しい町です。」(萩野さん)

マニュアルでは教えてくれない仕事のキホン

――そういうものがあるんですね。Revitを始めた頃に使った教材は覚えていますか?

会社にあった大塚商会かAutodeskが作った印刷物を見ていたかな? 一番勉強になったのは、やはり就業先の素晴らしい参考モデルですね。今思うとありがたい宝の山でした。

――なるほど。それでレベルを上げて、あとは最新技術をアップデートして。BIMやRevitの腕を磨くにはどうすればいいですか?

まずRevit初心者の人は、今までのソフトに対する概念を全部捨てて、ゼロから始めたほうがいいです。とにかく一筋縄ではいかない。わからない時、考えるべきところと考えても仕方ないところがありますが、後者はさっさと聞いちゃったほうがいい。なかなか聞ける環境がないのが歯がゆいですが。

――これからRevitを学びたい人におすすめのやり方はありますか?

急がば回れで、最初はしっかり基礎を押さえたほうがいいと思います。あと、マニュアルにあるような、柱や壁の建て方ではなく、「図面にするにはここに気をつけて」というようなこと。おそらく大きい会社だとみんなでファイルを共有して作業をやると思うので、そういう時のマナーやルールなどを、私も教えられたらいいなと思います。

――弊社の研修やテキストも、本当の意味で、仕事で使えるものを目指していますが、難しいですね。Revitを学ぶ上で、何が一番難しかったですか?

答えが1つじゃないところですかね。それが大変なんです。例えば、緑色を赤くしたい時に、Excelならカラーパレットで緑を赤に変える。それがたいていのソフトのやり方で、いじっていればなんとなくわかります。でもRevitはまずカラーパレットが出てこない。色の変え方として、持っているマテリアル自体を変える、上からマテリアルを塗る、フィルターを当てるなど、答えは1つじゃない。慣れてくればわかりますが、最初は誰がどう作ったのかわからないから、質問をすることは当然のことです。

――いろいろな道のりがあって、どれも正しくて、ただ本当は設計者さんにはこの出し方をしてほしいというものがある。でもRevitがわからないから、聞いても答えが来なくて、後から「こうじゃない?」と言われる。それは皆さんが今結構直面しています。聞いた相手が答えを持っていないのがつらいですよね。

さらに言うと、設計のなかだけで答えを出していいわけじゃなくて、施工とかに繋げていかなければいけないから、本当は施工やその後のことも知らなきゃいけない。

――本当は最初のアトリエ系事務所のような小さいところで、トータルでノウハウを吸収できるのが一番良いですよね。今後の目標はありますか?

本当にRevitは奥が深くて幅も広くてどこを目指していったらいいのか、自分でもわかりません(苦笑)。

――技術面の目標と、会社代表としての目標で違いますよね。

そうですね。やはり実務には携わっていたいです。Revitの講師もやりがいがあるので続けたいですし。あとは今住んでいる長野県でのBIMの普及活動が一番大きい目標です。「信州BIM/CIM推進協議会」が2019年にできて、お話を聞くことができましたが、まだまだ長野県ではBIMの普及に時間がかかりそうです。

――そそうですか。どこか小さいところでもいいから、萩野さんのノウハウを活用して、1つ事例が作れればいいですね。こんな熱い思いを抱えているんだから。

そうなんですよ! 長野県で一緒にBIMやってくれる設計事務所を募集しています!(笑) あとは派遣でオペレーターをしている人たちのために何か私にもできることがないか、日々模索しています。

いかがでしたか。建築業界に携わるルートの一例として、ご紹介させていただきました。
我こそはと思う信州の設計事務所さん、ご連絡をお待ちしております!!笑

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