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空間と仕組みの双方をデザインし、顧客満足の最大化を目指し続ける

空間と仕組みの双方をデザインし、顧客満足の最大化を目指し続ける

UDS株式会社

企画・設計・運営を一手に引き受ける

プロジェクトの企画、設計、運営という3つのフェーズを一気通貫して担う点が同社の特色。こうした事業形態の意図について取締役の中原典人氏は言う。「企画設計のフェーズで思い描いたかたちをエンドユーザーにまで確実に届けるためです。また運営まで担うことでユーザーの声を聞く機会が生まれ、地域にしっかり根ざしたプロジェクトになる。それでこそ空間価値の最大化が図れるのです」

象徴的な事例が「ホテルアンテルーム京都」「ホテルカンラ京都」だ。プロジェクトはクライアントの専修学校から「校舎や寮などをどう再活用すればいいか」と依頼を受けたことから始まった。観光地である京都という立地からホテルを提案。また競合と差別化するため運営には教育的要素を加味した。高級感溢れるデザインを学生にも体感してもらおうと修学旅行を積極的に受け入れたのだ。これにより安定的な収益も確保した。

現在手がけている案件は、ホテル、オフィス、商業施設が中心。約180名のスタッフの半数はホテルなどの運営に携わるアルバイトで、残る半数が社員として企画、設計などの業務に当たる。ただし企画、設計、運営の間にはあえて明確な線引きをしないという。

「縦割り組織から新しい発想は生まれません。企画設計の人間も運営を考える。運営の人間は現場で聞いたお客さまの声をフィードバックする。企画と設計と運営が一体となって議論することで、それぞれが刺激を受けるし、議論もより深まる」

通常、異なる立場の人間が議論に参加すると合意形成の難易度が高まる。しかし、同社の議論は常にスムーズ。設立後最初に注力した事業であるコーポラティブハウスでの経験が糧になっている。

「複数の入居者がまったく異なる間取りやデザインを希望する声をとりまとめ、合意形成に導きました。ですからスタッフはファシリテーションに慣れている。皆、議論に献身的でいつでも前向きです。たまにはケンカもしますが(笑)、皆の意見を吸い上げる機会があることが社内のモチベーションを高めることにもつながっています」

柔軟に幅広く思考し、顧客満足を追究する

柔軟に幅広く思考し、顧客満足を追究する

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異なる強みを持つスタッフが、活発に議論を戦わせている。「皆“キャラ立ち”していますし、声もデカイ(笑)」(中原氏)

「UDSらしいデザイン」について尋ねると、「一つのカラーを持たないこと」だとの回答。「社内にも設計部隊がいますが、そこですべてを完結させず、外部デザイナーとも積極的に仕事をしています。ほかの設計事務所にくらべて“引き出し”が増えやすい環境だと思います。そしてやはりコーポラティブハウスでの経験が大きい。入居者それぞれの嗜好を120%満たそうと思えば、こちらの引き出しを増やすしかない。私たちは常に、顧客満足の最大化を追究しているのです」

常時60程度の様々なかたちのプロジェクトが進行する同社は、「一つの事業スキームにこだわると立ちゆかない」と中原氏。それゆえ、スタッフに躊躇せず新しい挑戦をするポジティブさを第一に求める。

「加えて個性ですね。会社のカラーに染まってもらおうとは思いません。むしろ『いろんな人間が集まった会社がUDS』という考え方でないと、次々に新しいことに挑戦できる組織を醸成できないからです」

現在進行中の新規事業においては、運営面でのアイデアを持った人材を募集中だとか。また事業拡大にともない、企画職の応募も歓迎している。

「設計事務所出身でなくでもかまいません。例えば、商社出身、広告代理店出身だけど昔から建築が好き、みたいな人。新しいステップを望んでいる人に期待します。これまで設計でキャリアを積んできた人の中にも『設計だけでいいのか』と次のキャリアを模索している人がいるはず。例えばそこで『もっと企画をやりたい』『運営面でのディテールまでこだわりたい』と思うなら当社はぴったりの環境です。普通の事務所だと『それは君の仕事じゃないだろ』と言われてしまうような部分に、嫌でもかかわれますから(笑)」

PROFILE

中原 典人

中原 典人
Norito Nakahara

なかはら・のりと/1991年、東京デザイン専門学校卒業後、

都市計画、まちづくりを主に行う設計事務所に勤務。

99年、UDS株式会社に入社。

外観から内装、家具などインテリアまで一気通貫した空間デザインを手がけ、

常に斬新な空間づくりを目指している。1級建築士。

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