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独自にカスタマイズしたBIMの活用で、マンション居住者の幸福度をさらに向上

独自にカスタマイズしたBIMの活用で、マンション居住者の幸福度をさらに向上

株式会社長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部

マンションに特化し、他社と一線を画す

同社が手がける案件は、マンション事業が9割以上。これまでに、58万戸を超える分譲マンションを建設してきた。土地情報の収集から事業計画の提案、設計、施工、販売、管理、修繕に至るまでをグループ内でトータルに対応できることが強みだ。設計施工比率も約97%と高い。

その設計部門が、エンジニアリング事業部。統括室長の堀井規男氏によれば、「他社より仕事の守備範囲が広い」。背景にあるのは、同社特有のビジネスモデル「特命受注」だという。

「自ら土地情報を入手し、建築プランを検討・提案し、建設工事を受注できるのが特命受注。ゆえに、建主が決まる前の川上の仕事から携われるのです」

彼らは今、新しい取り組みに注力している。「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の活用だ。BIMを使えば、コンピュータ上にパーツを組み立て作成した建築物の3次元モデルに様々な属性データを付加するなど、高度な業務遂行が可能となる。

全社で導入に踏み切った理由について、堀井氏は、「当社の3つの特徴が、BIMの特長とマッチし、メリットを最大限に生かせるからです」と話す。

「1つ目は、設計施工比率が高いこと。BIMは、これまで施工の段階で行っていたことを、設計の段階に前倒しして行うことを可能とします。設計・施工が一貫している当社は効果を最大限に生かせる。2つ目は、マンション事業に特化していること。BIMは、規格化したパーツでつくられる建物の設計に特に力を発揮します。集合住宅に特化したビジネスには、まさにうってつけのツールといえるでしょう。3つ目は、当社のビジネスがマンション事業の川上から川下までを網羅していること。BIMのデータを設計・施工だけでなく、販売、修繕などにも活用し、より質の高いサービスの提供を目指しています」

顧客に安心・安全、幸せな生活を提供

2016年に竣工した「ブランシエラ板橋西台」は、同社がBIMを活用して企画・実施設計から、販売までを行った第1号案件だ。複雑な形態が特徴のこのマンションには、BIMの機能が確実に生かされた。

「設計・施工は当然、販売においてもフル活用。お客さまに3次元で部屋の〝イメージ〞を実感いただいたり、普通は見られない杭を映像で確認できる『BIMシアター』も用意しました。従来のパンフレットや模型、図面などを使用した2次元のアプローチから、3次元のビジュアルを多用したよりわかりやすい新たな販売手法へ進化しつつあります」と堀井氏は話す。

現在手がけている案件のうち基本設計の約8割、実施設計の約3割でBIMを活用している。その過程のなかで様々な課題も見えてきた。堀井氏は、ソフトそのものの機能などの問題のほか、BIMを〝使う側〞の問題も指摘する。

「いまだに2次元の感覚が抜けきれず、デザインの検討や図面チェックなどを紙に出力して2次元で行っているケースも。BIMのメリットを最大限に生かすには、従来の図面による検討に加えてデザインやチェックも3次元で行えるようになっていかねばなりません」

今後、若手の活躍に期待する堀井氏は、「12年以降に入社した〝BIM世代〞の社員たちが第一線で活躍する頃には、当社のBIMはより進化しているでしょう。その未来に向け、これから入社する皆さんは3次元でものを捉える力や、BIMを高度に活用する柔軟な発想力を大切にしてほしい」と語る。

最後に、同事業部BIM推進室長の新屋宏政氏に、BIM活用の未来像を聞いた。

「社会の様々な領域でビッグデータやIoTといわれる情報の高度な活用が始まっています。その流れをしっかりキャッチアップし、設計・施工、販売、管理の場面においてBIMデータをはじめとする様々な情報をフル活用しながら、入居者の皆さまが安心・安全、快適に暮らすためのマンション事業を発展させていきたいと考えています」

PROFILE

堀井規男

堀井規男

ほりい・のりお/
1990年、武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部建築学科卒業後、

株式会社長谷工コーポレーションに入社。
93年よりエンジニアリング事業部で、マンション設計業務に従事。
2015年、統括室長に就任。現在に至る。一級建築士。

株式会社長谷工コーポレーション

所在地/東京都港区芝2-32-1
TEL/03-3456-5451
http://www.haseko.co.jp/
1937年創業の大手ゼネコン。68年に初めてマンションを手がけて以来、数々の分譲マンションを建設し続け、その施工実績は日本一を誇る。スローガンは、「いい暮らしを、創る。住まいのオンリーワングループ」。2012年にBIMを導入した。

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