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地球環境、地域との調和を常に意識し、高品位な未来の建築をデザインする

地球環境、地域との調和を常に意識し、高品位な未来の建築をデザインする

梓設計 設計室 永廣スタジオ

公共物件メインに全国展開

空港設計のパイオニアとして知られる梓設計にあって、永廣正邦執行役員率いる「永廣スタジオ」は、空港ターミナルや航空機ハンガーなどの大空間の構造架構設計のノウハウを生かした体育館やプール・スタジアムなどのスポーツ施設、そして庁舎、教育・文化施設の設計を主な業務としている。建物の性格上、公共物件のウエートが高い。「スポーツ施設は防災対策、庁舎は自治体合併や老朽化、学校は小中一貫への移行など、建て替えや新設が比較的活発です。私たちは、そうした案件に、全国いたるところで携わっています」と永廣氏は言う。

スタジオのメンバーは、総勢17名。若手も多く、ものづくりに対する熱意と勢いがある。「建物用途により、それぞれ経験を持つエキスパートを核として、大まかにチーム分けしてますが、案件によってはクロスオーバーで取り組むこともある」そうだ。

公共物件がメインなだけに、プロポーザルでの受注が大半を占めている。プロポーザルの場で訴えることの一つが、「環境や風土との共生」だ。
「地域特性をしっかり分析し、竣工後の施設の運用まで見据えた合理的な建築計画が、結果として環境配慮につながっていますね」

自然エネルギーの積極的利用・最新設備システムを駆使した省エネ設計を徹底するとともに、地場産材をできるだけ活用するなど、風土に根差した設計を行っている。
「例えば、当社は風圧によって自動で開閉する自然換気窓を開発していますが、それを吹き抜けと合わせて計画することで、建物内に自然な風の通り道を確保したり、採光についても様々なシミュレーションを重ねながら、最適なデザインを採用することを心がけています。また、庁舎については、単なる行政の受付窓口ではなく、住民が気軽に立ち寄って交流できるような、地域に開かれた空間にしたいというのが、私たちが設計を行ううえで大事にしている理念なのです」

同スタジオが設計した最近の建物は、ほとんどがCASBEE(建築環境総合性能評価システム)の最高の「S」ランクを取得している。

常に社会的使命の実現を胸に

常に社会的使命の実現を胸に

常に社会的使命の実現を胸に

風土との共生を掲げる背景には、「公共建築は社会資産として残っていく。建物を社会のためによりよいかたちでつくり、残していくというのが、我々に課せられた使命です」という思いがある。「その使命感、責任感がないと、ともすれば『初めにデザインありき』に走ったりします。むろんデザインは大事ですが、そのベースにあるものを、言葉で語れなくてはいけない」

そうした思いを共有するうえでも、メンバーには「社員同士、建築家同士としてのつながりを大切にしてもらいたい」と永廣氏は話す。そのために、「できるだけチームの垣根は取り払い、上下関係もなく議論し合える場の提供に努めている」という。「みんなに言っているのは、とにかく建築を見よう、そして語り合おうということ。事務所系だったり、商業系のビルだったり、自分たちと違った分野のところにヒントが転がっていたりもするのです。この7月からは、見学した物件をみんなの前でレポートする発表会を始めています。技術は当事務所に入ってくれば身につきます。求めているのは、探究心と高みを目指すヤル気を秘めている人ですね。それが、この仕事を長く続けられる一番の秘訣だと感じます」

PROFILE

永廣 正邦

永廣 正邦

1984年、法政大学工学部建築学科卒業。

89年、株式会社梓設計入社。

現在、同社 執行役員 設計室 永廣スタジオリーダー。

東京建築賞最優秀賞、JIA 優秀建築選、建築学会作品選集、日事連 国土交通大臣賞、

サスティナブルデザイン賞、JIA 環境建築賞優秀賞、公共建築賞優秀賞

ほか多数。

株式会社梓設計

所在地/東京都品川区東品川2-1-11
TEL/03-6710-0800
http://www.azusasekkei.co.jp/
終戦直後の1946年に、建築家・清田文永を中心とするメンバーが創立。

「“梓”たる“質実優美”な建築を顧客の共感とともに実現し、社会に貢献する」を経営理念に、

数多くの建築物を手がける。代表的な作品に、東京国際空港国際線ターミナル、埼玉スタジアムなど。

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