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都市に新たな生命を――。大手町の未来を変える、本格的な“森”が息づく、新たな都市再生プロジェクト

都市に新たな生命を――。大手町の未来を変える、本格的な“森”が息づく、新たな都市再生プロジェクト

大成建設株式会社

我が国屈指のオフィス街、東京・大手町に、突如「本物の森」が出現――。独自の〝技〞で建築業界をリードする組織を紹介する本企画に今回ご登場願うのは、スーパーゼネコンの一角、大成建設である。今年4月に竣工した「大手町タワー」の設計に携わった設計本部建築設計第二部の田口晃設計室長、設計本部専門技術部の山下剛史環境デザイン室長、それに施工の責任者を務めた佐々実大手町タワー作業所長に、計画から10年近くに及ぶビッグプロジェクトを振り返ってもらった。

行き交う人が快適な、「生まれ変わった大手町」をつくりたい

みずほ銀行大手町本部ビルと大手町フィナンシャルセンターという隣接するビルを解体し、跡地を再開発する計画がスタートしたのは、2005年のこと。その計画段階から設計の責任者として竣工まで見届けた田口氏が、当初大手町について持っていたイメージは、「そもそもどこからどこまでが大手町なのか? 地下から地上に出ても、ビルばかりで、ここはどこ?状態(笑)。また、オフィス街だから、土日はほとんど人がいない」というものだった。

「ただ、東京駅に近く、丸の内や有楽町に隣接する多くの人が行き交うエリア。その中心部を再開発し、超高層の建物を建てようとした時、何が大事か? 第一に考えたのは、そこにやってくる一般の人たちに、快適な気分を味わってもらいたいということでした」

この「一般の人たちに、というのが〝肝〞だった」と田口氏は続ける。「ビル事業ですから、当然できるだけ高容積の〝儲かる建物〞でなければなりません。半面、その合理性のみを追求していくと、とても味気ない施設になってしまうのが目に見えています。薄暗くて混雑する地下通路にオフィスビルが乗っているだけ、というのではなく、来た人みんなが快適な空間、〝生まれ変わった大手町〞をかたちにしたかった。それを具現化したのが、大きなガラスウォールからふんだんに自然光が差し込む『地下プラザ』や、敷地面積の3分の1を占める『大手町の森』だったわけです」

とはいえ、今までにない快適空間を実現しようとすれば、それだけ施工面でのハードルも高くなる。「地下プラザの大吹き抜け空間は、柱をワンスパン飛ばして、14mのスパンを確保することで実現しました。でも従来の柱だと、ビルの荷重に耐えられない。超高強度鋼材と超高強度コンクリートを組み合わせた世界最高クラスの強度の『超高強度CFT柱』を採用することで、その問題をクリアすることができました」と佐々氏は言う。

「地下鉄5路線の大手町駅に囲まれた敷地には、乗り換え通路があり、着工から竣工まで止めないことが条件でした。毎日5〜6万人もの人を通しながら、安全かつ工期を睨みつつ工事を進めるのには、けっこう神経を使いましたよ。しかも計画は地下6階という大深度です。35m以上掘るというプロジェクトは、丸の内や有楽町という周辺地域を含めても、そうはないはず」

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クライアントに〝思い〞を語る。それも技術

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PROFILE

田口 晃

1990年、明治大学大学院修士課程修了後、大成建設入社。

同社設計本部建築設計第二部 設計室長。

一級建築士。

山下 剛史

1991年、大阪大学工学部建築工学科卒業後、大成建設入社。

同社設計本部専門技術部 環境デザイン室長。

一級建築士。登録ランドスケープアーキテクト。

佐々 実

1991年、早稲田大学理工学部建築学科卒業後、大成建築入社。

同社東京支店 大手町タワー作業所長。

一級建築士、一級建築施工管理技士。

大成建設株式会社

創業/1873年10月

設立/1917年12月

代表者/山内隆司

資本金/1124億4829万円

所在地/東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル

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